政府、地域金融とPFI加速 球場やホールも開拓
2022.06.20 04:45
政府は、地域金融機関とPPP(官民連携)/PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の推進を加速させる。新たに、今後10年で事業規模を30兆円まで拡大する目標を掲げ、地方公共団体が地域銀行などと協議する場を全都道府県に立ち上げる。官民ファンドを活用した人材育成も強化。野球場や文化ホールなど、これまで手付かずだった分野へのPFI導入も広げる。
内閣府の会議が、6月上旬に「PPP/PFI推進アクションプラン」を改定した。これまで、2022年度までに事業規模を21兆円まで増やす目標を掲げていたが、20年度末時点で26兆7000億円となり、前倒しで目標を達成。31年度までの10年で30兆円を目指す新目標を定めた。
目標達成に向け、重視するのが地域金融機関の役割。内閣府と国土交通省は、全国の地公体や企業に金融機関を含めた官民が連携する「PPP/PFI地域プラットフォーム」の立ち上げを促しており、26年度までに全国の空白地域を埋める方針。プラットフォームは、4月に秋田銀行が秋田県、伊予銀行と愛媛銀行が愛媛県と、それぞれ設立しており、これまでに28府県で動き出している。
内閣府は残る都道府県にも準備を促すが、各地の形式は多様で主要市が独自に動いているケースもある。このため、こうした地域については既存の基盤を拡大して都道府県規模に広げるか、新たな基盤を立ち上げるかの判断を、それぞれの方針に委ねる。
人材育成でも、PFI実務の知見を持つ地域金融機関職員が全都道府県にいる状況を目指す。民間資金等活用事業推進機構(PFI機構)が、地域銀行や信用金庫の職員などを対象に実施する研修を通じ、プロジェクトファイナンスに求められるリスク分析や契約実務に関する知見の提供を進める。22年度から本格的な取り組みに着手し、26年度までに全国の空白地域を埋めたい考え。
これまでのPPP/PFIは、上下水道や空港などの運営事業への導入が主流だった。今回のアクションプランでは、野球場、体育館、文化ホールといった施設への導入も進める方針を示した。地域金融機関の協力を得られれば、地公体は各施設運営への民間資金活用を進めやすくなる。
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