政府、女性登用の可視化加速 市場区分ごと開示

2022.06.03 04:45
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政府は、上場企業による女性登用状況の可視化を加速させる。新たに、市場区分ごとに女性の取締役や監査役が占める比率の順位を公開するほか、プライム市場の企業を対象に執行役員などを含めた女性の比率も精査する。2023年度にも開示を義務化する男女間賃金格差と合わせ、是正を促す。


内閣府男女共同参画局が運営する「女性役員情報サイト」は、これまで市場区分を問わずに登用状況を集計し、東京証券取引所の旧第一部上場会社については女性役員が1人もいない企業の一覧を開示してきた。今後は東証の市場区分刷新も踏まえて女性役員比率順位と登用ゼロの企業を市場ごとに示し、「実態を分かりやすく伝える」(同局幹部)。


プライム市場を対象とする調査は、22年夏以降に実施する。実態を踏まえ、22年度中に25年度までの政府目標を設定。国際的に高い評価を得られる水準を目指す。


金融界は、取締役などの女性登用で先行している。21年時点で、銀行業の女性役員比率は10.5%、保険業は10.3%と、全業種平均の7.2%を上回る。金融2業種以外で10%を超えているのは石油・石炭製品業と電気・ガス業だけで、国内での相対的な水準は高い。


ただ、課題となりそうなのが男女間賃金の開き。厚生労働省の調査では、男性の所定内給与を100とした場合、金融・保険業の女性は20年時点で58.7ポイント。全産業の中で最も低く、下から2番目の卸・小売業とも10ポイント近く離れている。


政府は、女性活躍推進法(女活法)に基づく枠組みと有価証券報告書の両面で、賃金格差の公表を義務付ける。女活法では、23年3月期から従業員301人以上の事業者に開示を要求。有報でも女活法基準と同内容の開示を求める。賃金格差に加え、女性管理職比率と男性の育児休業取得比率も「従業員の状況」の記載項目にする見込みだ。

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