政府、定款認証を簡素化 規制改革会議が答申
2022.05.29 04:45
政府の規制改革推進会議は5月27日、2022年の答申を取りまとめた。金融・経済関連分野では、公証人による定款認証の簡素化へ道筋を付けた。事業成長担保権の創設や、金融商品の販売時に交付する書面の原則電子化も盛り込んでいる。スタートアップ企業の育成や、幅広い手続きをオンラインで完結できる社会の実現を目指す。
スタートアップ育成やデジタル社会の基盤整備のほか、医療・介護分野などを重視して331項目の改革案を示した。近く、答申を基にした「規制改革実施計画」を閣議決定し、各省庁が対応に着手する。
法人設立時に求められる定款認証は、「長く改革の必要性が指摘されてきた項目」(内閣府規制改革推進室)。悪意を持った会社設立やマネーロンダリングを防ぐため公証人が定款の法令適合性や株主情報を確認しているが、手続きにかかる負担が大きく起業の妨げになっていることから民間経済団体が必要性を疑問視してきた。所管の法務省はこれまで難色を示してきたが、今回は認証業務の実態調査に乗り出す方針を決定。結果を踏まえて23年度に方向性を検討し、24年度に一定の見直しを実現する。
金融庁が創設を目指す事業成長担保権も、スタートアップ企業を増やすための起爆剤に位置付ける。金融機関が事業全体を担保として融資できる仕組みを整備し、不動産担保に依存する慣行からの脱却を促す。金融機関が融資先経営者に求める個人保証の解除促進も図る。
金融機関の金融商品販売については、目論見書や運用報告書を原則書面で交付するよう金融商品取引法で定められている。現在は顧客の同意を得た場合に限って電子化を認められているが、原則を逆転させて電子交付を基本とする制度に組み替える。
金融以外の分野では、オンライン診療の拡大や、配送事業者に課している自動車活用に関する規制緩和などに取り組む。夏野剛・規制改革推進会議議長は、「人間が作る仕組みはすぐ陳腐化する。日本の競争力を高めるため、不断の改革が重要」と話した。
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