金融庁、非上場向け「銀証の壁」緩和は長期化も
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「銀証の壁」と呼ばれるファイアーウォール規制をめぐり、非上場企業と個人顧客向けの見直し議論が長期化する公算が出てきた。金融庁が5月20日に開いた市場制度ワーキング・グループ(WG)で、複数の委員が拙速な緩和に難色を示したため。6月から先行して規制緩和される上場企業向けの運用状況を踏まえて判断すべきというのが主な理由だ。
FW規制は、同一グループ内の銀行と証券会社が顧客の未公開情報を事前同意なしで共有することを禁じるもの。全国銀行協会が銀証一体の提案を通じた金融サービス向上などの観点から緩和を求める一方、証券業界は反対の立場をとっている。
20日のWGでは、4月に開いた前回WGで実施した銀行界と証券界の代表者によるプレゼンテーションを踏まえ、委員から議論の必要性について意見を聴取した。ある委員は「(大企業向けの)改正がこれから」と指摘。別の委員もその運用状況をまずは確認すべきとし、ともに非上場企業と個人顧客向けの規制緩和を議論するには時期尚早との認識を示した。
なかには「実務上どのような障壁があるのか精査が必要」と検討自体に前向きな声はあったが、早期の結論を求める意見は出なかった。一方で、「規制は維持されるべき」と反対を表明する委員はいた。とはいえ、今回のWGでは幅広いテーマの一つとしてFW規制を取り上げたため、言及しない委員の方が多く、議論が深まったとは言えない。
金融庁は次回WGから取りまとめ作業に入るWGの中間報告書に、FW規制の見直し議論について今後の方向性を盛り込む考え。当面は、その記述内容が焦点になる。
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