上場地域銀、22年3月期決算 当期純利益は24%増
2022.05.14 04:57
上場する地域銀行の2022年3月期決算が5月13日までに、ほぼ出そろった。山梨中央銀行(5月16日に決算発表予定)を除く76行・グループ全体の当期純利益(連結)は8380億円で、前年同期比24%増となった。本業の収益力を示すコア業務純益(単体)は、貸出金利息や役務取引等利益などが増えたことで、同16%増となる1兆4337億円だった。だが、米国の金融緩和縮小などでマーケット環境は転機を迎えており、株式や債券などの有価証券運用では損失計上や含み損拡大などのマイナス材料も目立った。
22年3月期の連結当期純利益は、山口フィナンシャルグループ(FG)を除く75行・グループが最終黒字を確保した。山口FGは、含み損を抱える有価証券の損切りや信用コストの積み増しなどで130億円の赤字だった。今後の懸念材料を早期に払しょくしたことで、23年3月期はV字回復をめざす。
他の大手地銀の当期純利益は、コンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)が538億円(前年同期は253億円)、千葉銀行が544億円(同496億円)、ふくおかFGが541億円(同446億円)など好調だった。千葉銀のコア業務純益は前年同期比80億円増の783億円で、「役務取引等利益では法人ソリューション関連手数料が好調に推移した」(米本努頭取)。

コア業務純益は、8割超の65行・グループが増益となった。人件費・物件費の削減、コンサルティング業務などの役務収益の拡充などに加え、与信費用が想定を下回ったことが主な要因だ。
全体の与信関係費用(連結)は、同25%減の約3000億円となった。コロナ禍における政策効果が続いており、「足元では企業の大型倒産や連鎖倒産の兆候は見られない」(地銀トップ)という。ただ、原材料価格の上昇など中小企業は不安要素を抱えており、「大口先よりも小口先で倒産が出てくるのではないか」と懸念する声もある。そのため、23年3月期は融資先に寄り添った支援が一段と重要になりそうだ。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う市場の混乱などの影響で、株式等関係損益(連結)は前年同期から約3割減少した。また米国を始めとする金利の上昇(債券価格は下落)によって、外債などの有価証券で損失を計上する銀行も目立った。有価証券の評価損益が含み損に転じた銀行もあり、株安や債券安が続いている22年度も引き続き警戒が必要となりそうだ。
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