厚労省、コロナ貸付に危機感 総額1兆3000億円超
2022.04.02 04:50
厚生労働省は、コロナ禍で取り扱った緊急貸付を返済できない人が急増する事態への危機感を強めている。生活困窮者に1兆3000億円以上を貸し付けており、2022年12月には多くの案件の据え置き期間が終了する。住民税非課税世帯は債務免除を受けられるが、社会福祉協議会への相談の増加が続いており、対応の難しさが増している。次の危機に備え、緊急対応の枠組みの見直しを必要視する向きも出てきた。
緊急貸付は、コロナ禍で休業・失業した人などが対象の「緊急小口資金」や「総合支援資金」。再貸し付けを含めると最大200万円まで借りられる制度で、申請件数は300万件を超えている。同省の調査では、9割以上の地方公共団体が、返済に悩む利用者の増加を課題として認識している。
急務となっているのが、地公体が社福協などに委託して展開する家計改善支援事業の拡大・強化だ。支出の見直しや債務解消のための助言をする事業だが、1地域あたりの支援担当者は約2人と少ない。全国の担当者約1000人のうち、専担者は3割程度にとどまる。
こうした状況を踏まえ、生活困窮者を支援する制度の全体像を検討する有識者会議で検討の俎上(そじょう)にのぼっているのが、制度の見直し。緊急対応として評価されている一方、「本来の目的である個人の自立に向けた丁寧な対応が困難となった」「影響が長期化する場面では貸し付けが適当なのかを検証すべき」といった声があがる。償還が始まる段階で発生する可能性がある課題を事前に想定して対応する必要性も指摘されており、危機対応のあり方が問い直されている。
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