地域銀・信金、サイバー攻撃警戒 標的型メール急増
2022.03.16 04:45
ウクライナ情勢の影響で、一部の地域金融機関では「サイバー攻撃が急増」(大手地方銀行)している。ロシアと直接関係のない「便乗型」の攻撃が多く、各金融機関は警戒感を強めている。
主な手口は「標的型メール攻撃」。不正なメールを送り付け、情報を盗み取る手法だ。3月上旬から急増し始めた。「現状、攻撃は受けていない」とする金融機関も多いが、「最大限の注意を払って警戒している」(九州地区地銀)。
ある都内金融機関では、3月2~4日に48件の迷惑メールやウイルスメールをフィルタリングツールで検知。同5日以降は通常の一日0~2件に戻った。首都圏の複数地銀に「ロシアのハッカーからと思われる身代金請求のなりすましメールが届いた」(関係筋)との情報もある。
神奈川県の信用金庫では、2月下旬に信金名をかたる不審メールが取引先3社に届き、顧客から連絡を受けた。西日本の信金では、ホームページへの攻撃で「3月上旬にインターネットバンキングが一時的にストップ寸前」となる事態が発生した。
こうした攻撃を踏まえ、中国地区地銀は「外部メールを中心にセキュリティーの警戒レベルを引き上げた」。他の金融機関でも、従業員への注意喚起を再徹底する動きが増えている。首都圏の信金では、2月下旬からコンピューターウイルス「Emotet(エモテット)」に対する注意喚起をホームページで行っている。
日本企業全般への攻撃に関して、あるセキュリティベンダーは「エモテットを使用した攻撃が日本に向いている。さらに、その攻撃が成功しているので、次々になりすましメールが広がり、国内で被害が拡大している」と解説する。また、「さまざまなところでDDoS攻撃が行われ、その余波が日本にも及んでいる」という。