SMBC日興証券、近藤社長が会見 幹部逮捕「深く反省」
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SMBC日興証券の近藤雄一郎社長は3月5日、前日に幹部らが金融商品取引法の株価操縦容疑で逮捕されたことを受けて記者会見し、「市場の信頼を揺るがしかねない事態を引き起こしたことを深く止め反省している」と謝罪した。大手証券会社の幹部が株価操縦に関わるのは異例で、事態の究明を急ぐ。
逮捕されたのは、専務執行役員のヒル・トレボー・アロン・エクイティ本部本部長、執行役員のアヴァキャンツ・アレクサンドル同部副本部長、山田誠・同本部エクイティ部部長、岡崎真一郎・同本部エクイティ・プロダクト・ソリューション部部長の4人。
不正が疑われているのは、「ブロックオファー」と呼ばれる取引に絡んだ株価維持行為。同取引は、大株主が大量に保有株を売却しようとする際、値崩れを防ぐために証券会社が取引時間外にまとめて株式を買い取り、売却先を募るものだ。
ブロックオファー取引は売却先が決まった日の終値を大株主からの買い取り基準価格としている。基準価格が低いと大株主が売却を取り下げ、取引不成立となる可能性がある。このため終値を維持する誘因が働く。
容疑は金商法159条3項の「違法な安定操作取引」。同社では5銘柄について、取引価格を決定する執行日当日の立ち合い時間内に、自己勘定で対象銘柄を市場で買い付けした行為が終値を維持する目的でなされた疑いがある。
証券取引等監視委員会が2021年6月、株価操縦の疑いで同社を強制調査。今回の嫌疑が発覚し、調査を進めてきた。
株価操縦違反は、10年以下の懲役または1千万円以下の罰金もしくは併科と、金商法の中でも最も重い罰則となっている。法人に対して7億円以下の罰金を課す両罰規定もある。
同社は3月4日付で河合健司弁護士を委員長に3人で構成する調査委員会を設置。事実関係を調査するととともに、改善策を取りまとめる。売買管理部の審査担当者を14人から22人に増員するなど、必要な対応にも着手している。
同社は証取委の調査が入った6月以降、新規のブロックオファー取引を中止している。同取引のトレーディング収益に占める割合は5%程度とされるほか、債券引き受け業務でも幹事社の取り下げが相次いでいる。今後、業績面の影響も懸念される。
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