列島の止まり木 「競争」から「共創」の最前線へ
2025.09.12 06:00
広島県東部の福山市は、鉄鋼業や機械産業などが盛んで工業団地が集積する地域の中核都市。岡山県からも近く、両県の金融機関が激しく競合する。福山駅前にはちゅうぎんフィナンシャルグループ(FG)とひろぎんホールディングス(HD)の各拠点が向かい合うように立地。都市銀行やその他の進出行も交えて長年、顧客への提案やサービスを競ってきた。
この競争の地で2025年秋以降、ちゅうぎんFGとひろぎんHDが手を携えて小中高生向けの環境教育イベントを準備している。きっかけは両グループなどが参加する生物多様性の保全と地域経済の活性化を目指すプロジェクト「瀬戸内渚フォーラム」。水域環境の課題解決に取り組むベンチャー企業・イノカ(東京都)が主催して瀬戸内海の海草であるアマモの生育場所の再生や活用を目指すもので、24年9月から3年計画で取り組んでいる。

9月10日に香川県で開かれた初年度の活動報告会で、ちゅうぎんFGとひろぎんHDはイベント開催を発表。海の環境を保全するには次世代の育成が重要との問題意識から、子どもたちが海の環境保全に関心を持てるような内容にする。
ちゅうぎんFGとひろぎんHDは25年3月に山陽地域のサステナビリティ推進に向けたパートナーシップ協定を締結。DEI(多様性・公平性・包摂性)分野など、非競争領域での連携を強化している。こうした流れのなか、競争の地で始まる〝共創〟は地域の繁栄こそが利益をもたらすと両グループの認識が一致している表れ。関係者は「地域の未来のためになることは一緒にやった方がよい」と、今後も非競争領域での協力の取り組みを拡大させていく方針だ。
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