列島の止まり木 外国人が人手不足の切り札

2025.08.29 06:00
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「2040年には国内労働市場の労働需給の充足率が7割程度に落ち込む」――。人口減少が加速し、企業の人手不足感が高まっている。働き方改革による労働時間の減少や、賃上げに伴う「人財」獲得競争の激化などの要素も加わり、労働力の確保はますます難しくなる見込みだ。こうした状況を受け、中国地区地銀では外国人財の受け入れ支援を強化している。


ひろぎんホールディングスは24年9月、外国人財の受け入れを目的とした共同出資会社・ひろぎんワールドビジネスを地元企業とともに設立。インドネシア人財の紹介に特化しており、主に広島県内企業への就労をサポートしている。山陰合同銀も子会社・ごうぎんキャリアデザインが、25年2月から外国人財の専門職採用に特化した企業と業務提携を開始。国内で不足している施工管理技士など専門職の求人に応えていく。


地銀が支援体制を構築する一方で、企業側の反応は鈍いようだ。中国地区地銀の法人担当者は「県内で労働力不足が本格化するのは30年代から。そのため危機感を持つ経営者は少ない」と現状に危機感を覚える。地元企業へ啓発活動をしており、切り札になり得る外国人財の活用についても情報発信を強める。地元の複数企業と協力し、外国人財活用に関連する勉強会を25年度中に発足させる予定だ。


こうした取り組みは取引先支援の一環だが、なかには自行で外国人財を積極的に採用しようとする動きもある。この地銀担当者は「中部地方の一部地銀では、数十人の外国籍行員がコールセンターなどで活躍している」と話し、先行事例を参考にして本格的な労働力不足に備えようとしている。

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