【推薦図書】「教養としてのAI講義」(メラニー・ミッチェル著、松原仁解説、尼丁千津子訳)

2025.08.22 04:30
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

【推薦者】バークレイズ日本カントリーCEO・森原 恒輔 氏
AIとの向き合い方

社会のあらゆる領域にAI(人工知能)が浸透するなか、金融機関の経営に携わる者として、AIを単なる新しい技術ではなく「教養」として捉える視点が不可欠だと感じている。メラニー・ミッチェル氏による本書は、AIの仕組みや限界、人間との違い、そして倫理的課題までを平易な言葉で解説し、私たちに「AIとは何か」を問い直す機会を与えてくれる1冊だ。


特に印象的だったのは、「意味の壁」という章だ。AIは言葉を処理できても、それを本当に「理解」しているのか。この問いは、金融業界における情報の解釈や意思決定の本質にも通じるものである。


また、創造性や学習に関する考察は、人間とAIの違いを浮き彫りにし、当社のように企業がAIを導入する際の判断軸としても示唆に富んでいる。


本書を通じて、AIを活用するだけでなく、その限界や社会的影響を見据える姿勢の重要性を再認識した。AIとの向き合い方を理解することで、昨今よく目にする「AIによって大量の失業者が出るのではないか?」という議論に、過度に恐れる必要はないだろう。教養としてのAIは、未来を選び取る力を育てる羅針盤となるはずだ。


(日経BP、税込み2860円)

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)