列島の止まり木 ベテラン支店長の語る預金戦略の心得
2025.08.15 06:00
金利が復活して預金の奪い合いが激化するなか、中国地区の50代後半のベテラン支店長は、預金戦略のポイントについて「黙っても入ってくる預金を増やして、平残をキープすること」と若手に語る。
「預金は融資についてくる」――。先輩から受け継いだという預金戦略の格言は、個人向けローンや事業性融資を通じて築く顧客との信頼関係が、預金獲得の原動力になることを示唆する。
個人顧客に対してはカードローンなど融資取引をきっかけに、給与口座と年金口座の契約を勧める。同時に定期積金も契約してもらい、給与口座と年金口座から預金を移してもらう。まとまった金額になった後は、定期預金へ誘導して滞留させる。
一方、法人顧客へ定期積金を提案するときは「これは資金繰りのための定期積金です」と説明。資金が必要な際には、随時解約してもらっても構わないと伝え、契約時のハードルを下げる。ただし、「解約した後も(定期積金を再契約して)積み立てを継続してください」と一声添える。毎月の積み立てを地道に守ることが「預金の平残を維持することにつながってくる」という。
決済用口座に指定されることも重要なポイントだ。「資金が自然に流入し留まりやすい仕掛けを作ることが、安定した営業店経営のカギになる」と長年の経験から振り返った。