【ニッキン70周年企画(4)】ふくおかFG社長インタビュー、金融の枠を超え「殻破る」
2025.08.10 04:40
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日本金融通信社(ニッキン)は2025年8月27日、設立から70年を迎えます。本紙第1号が発行された1955年は、戦後復興を遂げた日本が高度経済成長期に突入する転換の年でした。あれから70年。急速な人口減少、慢性的な人手不足、デジタル化の進展など、日本は再び転換点を迎えています。新たな環境に適応するには、リスクを伴う挑戦が不可欠。「ニッキン70周年企画」の連載記事では、次の時代への「橋渡し役」として存在感を高める金融機関の姿を追いながら、10年後の金融界を展望します。連載第4回の今回は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の五島久社長に、地域金融の将来についてインタビューしました。
福岡FG、五島社長インタビュー
地方銀行は、それぞれが地盤とする都道府県の経済力や社会課題と無縁ではいられない。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、国内人口は10年後の35年までに5.7%減少する。地域によって濃淡はあるものの、東京都を除く46道府県で人口減が続く。こうした逆風の中で、金融機関は地域社会をどう支えていくべきなのか。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の五島久社長にヒントを聞いた。
「創りたい地域社会」示す
――10年後の金融界をどうみているか。
「人口動態の行方や技術革新の進展、地政学リスクなどの環境変化を踏まえたシミュレーションは無限にあり、将来を見通すことは難しい。重要なのは、我々が地域銀行グループとして地域をどう捉え、どんな社会を創りたいのかを明確に示すことだ」
――具体的には。
「このほど当社は、グループのパーパスと長期戦略(25年度~)を初めて策定した。この戦略の中で、経済的・物質的・精神的に豊かな地域社会に貢献する企業を目指していく。社員の成長に向けた努力を原動力に、お客さま本位で収益を上げる〝社員と企業の好循環〟で、長期戦略の実現を進める」
――デジタルバンクである、みんなの銀行はどんな進化を。
「みんなの銀行は多様な企業との提携を進めており、BaaS(サービスとしての金融)を中心にビジネスの可能性を広げている。将来的には銀行と言いながらも、金融の枠を越えたサービスが生まれるかもしれないし、むしろ発想の殻を破っていきたい。『これからは競争の世の中だ』とよく言われるが、クラウドネイティブで内製開発を進める同行は、その強みを生かせるビジネスモデルだろう」
「ニッキン70周年企画」の連載第5回は、山梨中央銀行による婚活事業への「銀行本体」参入を取り上げます。(8月11日配信)