【推薦図書】「グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀」(古矢旬著)
2025.07.18 04:30
【推薦者】みずほフィナンシャルグループ取締役・平間久顕
現代アメリカの実像
本書は、全4巻から成るアメリカ合衆国史シリーズの最終巻で、1970年代を起点にレーガンの80年代から第1期トランプ政権までの現代史を描く。
金融に限らず、マーケットの懐の深さ、イノベーションを育む土壌など、アメリカはチャンスに満ちている。一方で、トランプは「忘れ去られてきた人びと」に光を当て、労働者に職を、工場を立て直し、産業を復興し、軍隊をまず自国の国境防護のために用い、中間層の反映を実現して「アメリカを再び偉大な国にしよう」と訴えて大統領に返り咲いた。経済のグローバル化は、全体としては大きな利益を生み出したが、その配分には偏りがあり、さまざまな格差の原因ともなった。そして「自由、平等、機会」の普遍性や開放性を謳(うた)う楽観的なイデオロギーはその妥当性を疑問視されるようになっていった。
かつてケネディは大統領就任演説で、「世界市民の同胞の皆さん、アメリカがあなた方に何をできるのかを問うのではなく、われわれが一緒になって人類の自由のために何をできるかを問おうではありませんか」と語った。そうした戦後の国際秩序を形づくったアメリカのイメージをひとまず離れ、今の実像を冷静に捉え直すことが必要だと思う。
(岩波新書 税込み1188円)
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