投信ビジネスの勘所 分類別で見る複合資産ファンド
2025.07.12 04:10
公募ファンド(ETF、DC専用、投資一任〈SMA〉専用を除く)約4200本のうち、複合資産ファンドは800本以上に上り、主要な資産クラスの一つである。しかし、その商品性は多岐にわたるため、何らかの整理・区分をした方が特徴の差異をつかみやすい。複合資産ファンドにおける分類方法の一つが、資産配分の決定手法による分類である。本稿では「基本資産配分」「アロケーション」「リスクターゲット」「リスク抑制」「レバレッジ」の各手法について、具体例を交えて解説する。
「基本資産配分」は、あらかじめ定めた配分比率を維持して運用する。「アロケーション」は、固定の比率を設けず、市場環境に応じて配分比率を決定する。「リスクターゲット」は目標リスク水準を設け、その範囲内に収まるよう配分比率を決定する。「リスク抑制」は、市場急落時に現金比率を引き上げて下落幅を抑える。「レバレッジ」は、各資産に一定倍率をかけて運用する。
複合資産ファンドは、複数の手法を組み合わせることが一般的である。表では、ファンドAからファンドEについて、各手法の適用有無を示している。例えばファンドBは、リスク目標に基づく運用を行う一方で、市場の急落局面には日次で配分比率を調整し、値下がりの抑制を図る。ファンドCは、基本配分比率を設定しつつ、目標リスク水準を超えないよう配分比率を調整する。
これら五つの手法に加え、目標到達年が近づくにつれて株式比率を下げてリスクを抑える「ターゲットデート」型などの資産配分手法も存在する。
このように資産配分の決定手法は多様であり、組み合わせもさまざまである。顧客に比較説明を行う際には、商品性の違いを丁寧に伝えるとともに、投資目的やリスク許容度に合致しているかを見極める姿勢が求められる。
三菱アセット・ブレインズ ファンドアナリスト 本間 匠