列島の止まり木 金利戻り、定積も復活へ
2025.06.06 06:00
国内金利の上昇によって、収益の源泉となる預金の獲得競争が激しい。2025年度から営業店の業績評価項目に「預金」を追加する金融機関が増加傾向にある。特に、規模の恩恵を得にくい中小の金融機関では、定期積金の集金業務を再開する動きが出ている。
マイナス金利政策下では、定期積金の集金業務が非効率とされ、信用金庫や信用組合でこうした活動を廃止する動きがあった。効率化で捻出した時間を、事業性融資やコンサルティング活動に充ててきた。
その結果、低金利環境でも貸出金増加や手数料収益を確保できた一方、預金顧客との接点は減った。24年度以降、預金が思うように集まらない一因にもなっている。
各地域のトップ銀行も預金獲得に本腰を入れており、6月に入ってから新規預け入れで年0.8%を設定するケースもある。過度な金利競争は避けつつ、粘着力のある預金を獲得するため、定期積金を起点にした顧客接点の構築は再評価されている。
定期積金の集金活動に力を入れているある信金では、職員の制服廃止を検討していたが「高齢の富裕層の個人宅を訪問する際は、制服の方が面談率が上がる」という意見が挙がり、制服継続の決め手の一つになった。