ちょっと一言 日揮パラレルテクノロジーズ社長・阿渡健太さん
2025.05.17 04:00
「発達障がい」の長所生かす、書類手続き簡素化を
自閉スペクトラム症(ASD)など「発達障がい」の特性に配慮しつつ、長所の側面を生かせる社会を目指す「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」。その先駆けとして、グローバル企業の障がい者雇用をけん引する。
生まれつき両手がないが、「健常者と同じ生活ができる」と幼少期から不自由感はない。高校卒業後、日揮(現日揮ホールディングス)に障がい者枠で入社。主に人事畑を歩み、「社会保険労務士」資格も取得した。
「発達障がい」と向き合うきっかけは、自組織の分社化で障がい者の法定雇用率が未達のグループ会社が生まれた2019年。募集をかけるも、「求めるレベルが高く採用はゼロ」だった。
対応策を模索するなか、IT特化型の就労移行支援事業所で目の当たりにした、高い専門スキルを発揮して黙々と作業する精神発達障がい者の姿がよぎり、同じく課題だった「IT人材の不足」も解決する日揮グループの特例子会社設立を提案。グループ内のIT業務支援を主軸として21年に立ち上げた。
勤務体系は社員の特性を意識。1人1プロジェクトで、フルリモート・フルフレックス。「重要だけど緊急ではない業務が中心」のため、納期はない。社員間の会話もテキスト(文字)が基本で、人間関係の距離感などを自ら調整できる仕組みを施す。
半面、福利厚生は必要最小限。休業補償などが手厚いと、「オフィス勤務や対話に難のある人材はスキルが突出していても対人関係などで休職するリスクを先に考え採用しにくくなる」として、“ノーワーク・ノーペイ”を原則に制度運用。全社員(46人)の8割超が精神発達障がいを抱えながらも業務にまい進。「陣容以上の受注依頼がある」とうれしい悲鳴を上げる。
取引金融機関は三井住友銀など。「書類の記入や押印といった煩雑な事務手続きを簡素化してほしい」と要望する。
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