赤澤大臣、防災庁設置「平時から万全の備えを」 地域金融機関に期待 北国FHD・杖村社長と対談
2025.05.14 13:30
赤澤亮正防災庁設置準備担当相は5月14日に、日本金融通信社などが主催するオンラインセミナー「能登半島地震から考える事前防災」(9日収録)に出演し、北国フィナンシャルホールディングス(FHD)の杖村修司代表取締役社長と対談した。日本の防災・災害対応の現状や課題、防災庁設置の意義、地域金融機関が担う役割について語った。
赤澤大臣は防災庁の役割について「『事前防災』、事が起きた後の『事態対処』、落ち着いた後の『復旧・復興』、全てのフェーズでフェーズフリーでしっかり司令塔機能を果たし、平時から万全の備えを行う本気の事前防災に取り組む」と説明した。政府は2026年度中の防災庁設置を目指しており、有識者会議の提言も踏まえ、25年6月を目途に防災庁の大まかな方向性を取りまとめる方針だ。
杖村社長は能登半島地震の教訓を踏まえ、災害発生時と復興時における関係者間の連携や情報共有などを例に、「誰に聞いてどう判断するかという時に、きちんとした司令塔(防災庁)があることで格段とスピードやクオリティがあがる」と期待を示した。

また、北国FHDが携わる能登の創造的復興について、「地域金融機関として預金、決済、融資という伝統的な機能をいかんなく発揮するのは当たり前だが、本格的復興にはそれだけでは足りない」と指摘した。政府や行政頼みにならない民間主導の取り組みの必要性を挙げ、エクイティ投資やコンサルティング機能の発揮などを通じて「地域全体をどうするのか、あらゆる新しい機能を付加して(地域の)みなさんと議論を進めていきたい」と話した。
これに対して赤澤大臣は「地方創生の成功の鍵の一つが『産官学金労言』のステークホルダーの連携だ。地域の資源や人的ネットワークを生かした取り組みを下支えして、促進させることができるのが地域金融機関の役割の一つだ」と強調した。
AIや新技術活用についても言及した。赤澤大臣は、地域の中堅・中小企業が地元の高等専門学校の生徒によりカスタマイズされたAIを導入し、生産性や売上の向上につなげている事例を紹介。「高専生によるAIをカスタマイズして地元企業に売っていくスタートアップをしっかり応援していただいて、新たな展開を図っていただきたい」と述べた。
また、「AI活用は防災分野でも進んでくる。瓦礫の中から迅速に生存者を探し出して助け出すロボット、情報収集や物資輸送を行うドローン、被害予測、あるいは災害の事態対処の方針を作るAIなど、防災分野におけるAIやロボット技術の拡大・開発・社会実装が大いに期待できるので、全力でやっていきたい」と語った。
■5月21日(水)からアーカイブ配信
対談の全容は5月21日(水)~30日(金)にかけてアーカイブ配信します。視聴には事前登録が必要となります。下記URLまたはボタンより専用の登録フォーム(https://client.eventhub.jp/ticket/45UDHox_w)にアクセスのうえ、ご登録ください。
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