三井住友TG、インサイダー処分を発表 役員8人の報酬減額
2025.05.01 15:54
三井住友トラストグループ(TG)は5月1日、傘下の三井住友信託銀行の元社員によるインサイダー取引を受け、調査委員会の調査結果と再発防止策、役員の処分を公表した。処分では、大山一也・三井住友信託銀社長ら8人の役員報酬を減額する。
再発防止策は、役員・社員教育の再徹底、けん制的施策の強化、インサイダー情報の管理徹底など。調査委員会からの提言を踏まえ、新たな施策についても検討する方針。
経営責任を明確にするため役員報酬の減額を実施する。三井住友信託銀は、大山社長と当時副社長だった田中茂樹・エグゼクティブアドバイザー、証券代行担当の樋渡哲也・常務執行役員の月例報酬を30%3カ月減額するほか、常務執行役員ら4人の月例報酬を20%2カ月減額する。三井住友TGの高倉透社長も月例報酬の20%を2カ月減額。
事件は、三井住友信託銀の証券代行営業第二部長だった元社員(2024年11月1日付で懲戒解雇処分)が、22年12月から24年7月にかけて3銘柄の株式公開買い付けに関する未公開情報をもとに、自己名義で合計2万5900株・約3190万円分を買い付け、不正に利益を得ていた。元社員は3月25日、金融商品取引法違反(インサイダー取引規制違反)で起訴された。
調査報告書では、元社員以外によるインサイダー取引の可能性のある取引は認められなかったとし、同事案についても元社員の単独行為と判断。最大の原因を元社員の倫理観、規範意識の弱さにあったとする一方で、不祥事や社内での人事処分事例を社内で非公表にするなど、人事処分の際のけん制効果が不足していた可能性も指摘した。