（過去一気読み）小説　ザ・フロント・バンカーズ③

杉谷が手にしていたタブレットが突然、強く引っ張られた。
　「それを見せろ」。赤城の息子が手を伸ばして引ったくろうとしたのだ。反射的にタブレットを抱え込んだ杉谷のあごを息子の指が突いた。
　イタたた！　ロビーには聞こえないギリギリのうめき声を上げ、タブレットの上に倒れ込んだ。
　息子は慌てて手を放し「おれのせいじゃないぞ。あんたが...