列島の止まり木 ビジカジ導入に不退転の決意

2025.04.18 06:00
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地域銀行を中心にビジネスカジュアルを導入する金融機関が相次ぐ。ビジカジはスタッフの自律性を高めたり、多様性を尊重する組織へ変革させたりするなど、職場の活性化が期待できる。信用金庫や信用組合でも取り入れる動きが広がっており、最近では米子信用金庫や吉備信用金庫が採用した。


広島県信用組合は、2026年度にビジカジを導入する。きっかけは女性職員の制服廃止だ。ただ同信組が制服を廃止するのは05年に次いで2回目。この時はさまざまな意見が出て、5年後に制服を復活した。現在は、女性管理職を増やす目標を掲げて働き方改革を実践中。制服は、窓口や内勤といった従来の女性職員の働き方を連想させ、時代にそぐわなくなっていると判断された。「服装の開放」(総務部)で、女性職員の働き方を変えていく狙いだ。


今回は、25年秋の試行開始に合わせ女性職員に1着ずつオーダースーツを提供する。制服との併用期間も28年3月まで2年間設け、時間をかけて浸透に努める。職員が混乱しないよう服飾規定は細かく定め、独自のビジカジスタイルを作り上げる方針だ。そのため、ビジカジを採用している都市銀行や地方銀行を視察。広島県信組と同様に、制服廃止後に制服を復活させた広島信用金庫を訪ねるなど幅広く情報を集める。〝不退転の決意〟で、制服廃止とビジカジ導入の成功へ向けて準備を進めている。


「職場が明るくなった」「会話が増えた」などポジティブな印象のビジカジだが、顧客の世代によってはネガティブな印象を持つケースもあるようだ。数年前に導入した地銀では「行員の服装に関して、古参の株主から株主提案を受けた」と明かす。「金融機関はスーツと制服」という固定観念は根強い。


ただ、制服やビジカジは手段であって目的ではない。職場を活性化し、地域や取引先へ良質な金融サービスを届けるための試行錯誤は続く。

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