農林中金、26年3月期黒字化を堅持 再投資先は慎重に選別
2025.04.17 04:40
4月1日に農林中央金庫のトップに就任した北林太郎理事長は、同10日に本紙のインタビューに応じ、米国トランプ政権による関税引き上げの影響で世界的に金融不安への警戒感が高まるなかでも2026年3月期の黒字化目標を堅持すると明かした。
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25年3月期連結決算の純損益は約1兆9000億円の赤字を見込むが、24年度中に欧米国債を中心とする低利回り資産の売却を進めた結果、現在は収益力が高まっていることを根拠に挙げた。低利回り資産売却後の再投資先については、今後のトランプ政権やマーケットの動向も見据えながら慎重に判断するとした。
関税ショック前に示していた、26年3月期連結決算で300億~700億円程度の黒字に転換するという見通しは、現時点で堅持する考えを示した。北林理事長は「(含み損を抱えた米国債などの売却により)収益力が上がっている。(焦って)収益確保を急ぐ環境にない」と述べた。国内債券の保有量は相対的に少ないことから、日本が利上げ局面に入ったことに伴う金利リスクは軽微とし、円債の買い入れ時期などについては慎重な姿勢を示した。
トランプ政権の政策が国内外の金融市場、実体経済に大きな影響を与える可能性があるとしたうえで、これまでの米国債に偏重した運用への反省から、分散投資を基本とした再投資計画を維持するとした。利回りの低い債券を売却し、収益面で懸念すべき点が減っていることから、状況を見極める余裕があるとの認識も示した。
新設の財務戦略委員会には外部人材も登用する予定で、「現在人選を進めている」と語った。証券会社や生命保険会社、資産運用会社の出身者を中心に、市場運用や財務運営の経験者を招く考えを示した。同委員会ではアセットアロケーションの方向性などを決定する。「(農林中金の本業である)銀行業でなく、他業態によるマーケットの見方を取り入れる」(北林理事長)のが狙い。