関東地区地域銀が入社式 「殻破りイノベーションを」
2025.04.01 20:24
4月1日、関東地区地域銀行で一斉に入社式が開かれた。新入行員の家族がオンラインで参加したり、新入行員が入行式実行委員を務めたりする新たな試みも見られた。各トップは「金利ある世界」やデジタル化の進展を踏まえ、激変する環境への対応や変革力を求めた。

常陽銀行は142人の新入行員を迎えた。秋野哲也頭取は「仕事に取り組むうえで期待する三つを申し上げたい。一つは失敗を恐れず自分の可能性を信じて前に進むこと。一つは日々の言動や行動に留意し、信用と信頼を築くこと。最後に自己実現を図り、豊かな人生を送って欲しい」と訓示した。
千葉銀行は244人が参加。今回からオンラインで新入行員の家族も参加し、約80人が入行式の様子を見守った。米本努頭取は「同期や仲間と喜びや悩みを共有して果敢にチャレンジしてほしい。皆さんの若い力を期待しています」とエールを送り、先輩行員は経験談などを踏まえて激励した。新入行員の柴本綾花さん(22)は「中小企業の支援に携わりたい。地域の皆さんに信頼される銀行員になりたい」と意気込んだ。

米本頭取はあいさつで千葉興業銀行の株式を一部取得したことに触れ、「千葉興業銀行との関係性などお客さまをはじめ、当行のステークホルダーにとって最善の選択肢を丁寧な対応を通じて検討していく」と述べた。
地域・顧客の成長導いて
千葉興業銀は、数十年続けてきた形式を刷新。新入行員58人と24年入行者が企画や準備を担い、新入行員からの八つの質問に梅田仁司頭取が答えたり、プロ野球の千葉ロッテマリーンズの選手からの祝辞や営業店行員からの助言を収めた映像を披露するなどユニークな取り組みを行った。人事部は「今の時代に合うように、新入行員が主体的に考える形にした」と狙いを話す。
2024年入行者が新人研修で16班に分かれて「これまでにない入行式」を1案ずつ企画。そこから25年入行者が、内定段階の24年8月に多数決で1案を選んだ。25年入行者から立候補した6人が入行式実行委員を務め、ロッテへの祝辞の依頼などを準備。採用された企画を考えた24年入行者5人が支援役となり、当日の司会も務めた。
梅田頭取は質問コーナーへの回答で「人口減や人工知能(AI)の本格活用などで変化が激しく、経験則やレガシーが意味をなさないこともある。皆さん一人一人が主役となり、壁を破り、当行のイノベーションを起こしてほしい」と求めた。

横浜銀行グループは関連会社社員を含む187人(うち横浜銀169人)が参加した。
冒頭、銀行の歴史を振り返るムービーを上映。訓示した片岡達也頭取は「長い歴史の中で横浜銀が成長できたのは地域のお客さまに支えられてきたことに尽きる。地域経済とお客さまを成長に導くことが最大の使命」と強調。デジタル化の加速や金利が動く世界を踏まえ、「環境変化に柔軟に対応してほしい」と求めた。
総合職入社の江本颯太さん(22)は「いろいろなことに全力で取り組み、横浜銀行の江本だからと頼ってもらえる存在になりたい」と抱負を述べた。

26年1月に合併する八十二銀行と長野銀行は初めて合同で採用。八十二グループとして新入社員135人(うち八十二銀125人)が出席した。
八十二銀の松下正樹頭取は「長野銀との経営統合、合併は時代の変化、大きな転換期に求められているもの。期待れているものにコンサルティング力で応え、お客さまの役に立つ新しい八十二グループになろう」とあいさつした。
長野銀の西澤仁志頭取は「不確実な時代で不安なこともあるが、チャレンジする気持ちを持ち続けてほしい。経験や知識だけでなく客観的に物事を見て自分で考え、地域やお客さまの期待、信頼に応える努力を全力で続け、大きく成長してほしい」と訴えた。答辞を述べた松本営業部の駒村祐樹さんが「八十二グループの伝統を礎に、地域やお客さまの期待や信頼に日々努力し、全力で取り組む覚悟をもって仕事に励み、大きく成長していきたい」と宣言した。
東京スター銀行は外国籍11人を含む新入行員29人が参加。伊東武頭取は「ビジョンはユニークな金融サービスでお客さまに信頼される銀行となること」とし、その実現に向けて「他行が取り扱わない商品・サービス」など三つのポイントを説明。「多くの人の役に立つ銀行を目指していく」と語った。