安田光春 第二地方銀行協会会長 「地域復興の鍵はローカルSDGs」
2022.01.01 04:58
昨年(2021年)6月以降、第二地方銀行協会では「コロナ後も見据えた地域支援の深化」を活動テーマに取り組んできた。新年を迎えても、このテーマに基づき、以下の点を念頭に置きながら、取り組みを一段と加速させる。
1点目は「コロナ後も見据えた本格的な事業再生支援」。コロナを克服した後の新常態の下で、各地の中小・小規模事業者における生産性向上による事業収益の確保に向け、新商品・サービス企画、拡販策、経営効率化等の面でコンサルティング機能を発揮していく。また、事業再生を財務面などから支えていくために、必要に応じて資本政策をサポートしていくほか、経営ガバナンスの面でも的確な助言を行っていく。
今後の地域経済の下支えの実効性を高めるには、政府による景気回復の起爆剤となる観光支援策「GO TO トラベル」の再開など、各地の地域経済の需要を喚起する政策が欠かせない。当面の資金繰りに備えるために債務が増加した中小・小規模事業者への支援には、地元自治体や政府系金融機関との連携が一層重要だ。政策支援と、地域銀行の中小・小規模事業者に寄り添う支援が相まって、今後の地方経済がコロナを乗り越えることが可能になる。
2点目は「機動的かつ適切な資金繰り支援」。無利子無担保融資など官民金融機関が総力を挙げて取り組んできた資金繰り支援により、事業者の足許の資金繰りは全体としては落ち着いているが、コロナの影響が大きな飲食、宿泊、運輸などの業種の中には、引き続き資金繰りに苦慮する先も少なくない。地元自治体や政府系金融機関ともしっかり連携し、引き続ききめ細かな対応に努めていく。
3点目は、「コロナ後の地域復興に資する価値創造」だ。この実現には、エリアや産業の垣根を超えるオープンイノベーティブな取り組みが有効。各方面の情報・人材を集め、地域復興に必要なアイデアに練り上げるうえでのキーワードは「ローカルSDGs」であり、その実現手段の一助となるのが、コロナ禍の下で普及し始めたDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。当協会の「SARBLAB」も活用し、効率的かつ効果的な地域金融サービスの実現に向けて、外部企業などの力も得ながら、切磋琢磨していく。
地域銀行の使命は、いつの時代も、地域経済を守り、成長させることにある。お客さまの信頼の下にあることを意識し、多様化するニーズや課題に適切に応えていくことを通じ、地域の持続可能な未来づくりに貢献していく。