列島の止まり木 学生の金融人気が再燃

2025.03.21 06:00
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中国地区の金融機関では、就職先として学生からの人気が戻ってきているようだ。ある採用担当者は「長らく冬の時代が続いていたが、採用環境が明るくなってきた」と喜ぶ。


山陽新聞社が3月11日に発表した2026年4月入社予定の学生を対象にした地場企業の就職希望先ランキングでは、1位に中国銀行、2位にトマト銀行がランクインした。両行とも大躍進と言える結果で、前年度の調査では中国銀が4位、トマト銀が10位でトップ3にも入っていなかった。岡山市を地盤とするおかやま信用金庫も今回9位に入り、前年度から10ランクアップした。


就職人気は他県にも広がっている。広島銀行では、採用計画を超過するほど学生が集まり、25年4月入行者は135人を予定する。25年4月入組者の大卒初任給が信組界で一番高い広島市信用組合も40人超が入組予定で、人材確保につなげている。転居を伴う大卒初任給を中国地区の金融機関で一番高く引き上げた山陰合同銀行や島根銀行も、採用計画と同水準の人数が入行予定だ。


かつて「高収入」で就職人気を集めた金融機関。現在も、金融機関を志望する学生からは「風通しの良さ」や「金利環境の変化」とともに、「給与は高い方が良い」という正直な声が多い。初任給の引き上げでは、入社後の昇給幅が小さくなったり、賞与が減額になったりする場合が多いが「若いうちに多様な経験を積みたいから、昇給がなだらかになっても良い」「初任給が高い方が転職する時に有利と考えている」などの意見もある。


ある銀行の採用担当者は「物価高や若者の考えの変化で、初任給引き上げがプラスに働いていることは間違いない」と語る。そのうえで「ミスマッチによる早期離職につながらないように、企業理解を深める取り組みや入行後の研修内容を充実させていく」と強調する。

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