列島の止まり木 “さいきょう”預金に驚嘆の声

2025.03.07 06:00
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「すごい熱狂ぶりだったとニュースで見た。うらやましい」と金融機関関係者から驚きの声があがるのは、西京銀行が打ち出した新規口座開設キャンペーンだ。最大で5万円が受け取れる内容で、来店客が急増。想定を超える好評ぶりに、1月6日から3月31日までだったキャンペーン期間を2月28日までに前倒しして終了した。


同キャンペーンは、期間中に新たに普通預金口座を開設し、2025年3月末時点の預金残高が100万円を超える場合に5万円が受け取れるというもの。預金残高が20万円以上100万円未満の場合は1万円、10万円以上20万円未満の場合は1000円で、いずれも4月末の入金を予定している。


新規口座開設キャンペーンを打ち出す金融機関は多いが、特典受け取りの条件が定期預金の契約や少額投資非課税制度(NISA)口座開設、投資信託の購入とセット化されていたり、特典が抽選だったりするケースがほとんどだ。手軽な条件設定で、条件を満たした全員が特典を受けられるのは破格と言える。


ただ、今回の対象者は山口県在住の個人顧客のみだった。西京銀行の支店があるものの、キャンペーン対象外の地域となった広島県では「同様のキャンペーンがあれば必ず申し込む」という住民もいるほど。「金利ある世界」の再来や物価上昇の影響を受けて、「少しでもお得な金融機関に預けたい」という預金者の心理が働き始めている証拠でもある。


近隣地域の金融機関からは「西京銀行だけに最強の施策」「新しい顧客開拓のきっかけになるのではないか」「総合的な取引につなげられるかが重要だろう」「年度末の預金残高を稼ぎたかったのか」などの声が上がる。


気になるのは預金の粘着性だ。25年3月末時点での普通預金の口座残高が対象となるため、期日が過ぎれば引き出すことも可能だ。「すぐに引き出されてしまうのではないか」と心配する関係者もいるが、西京銀行は「今後効果を検証していく」としている。


預金者や金融機関行職員から注目を集めた西京銀のキャンペーン。今後、預金獲得を目指す中国地域の各金融機関が魅力ある独創的な企画を打ち出すのかに期待が高まる。

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