列島の止まり木 ちぐはぐな駅前再開発?
2025.02.07 06:00
3月24日にオープンが迫る広島駅直結の商業施設「minamoa(ミナモア)」。JR西日本が広島市や広島電鉄とともに行う広島駅ビル開発プロジェクトがいったんの区切りを迎える。
ミナモアには、飲食店や服飾、コスメなど多種多様な約200店舗が入る。映画館も入居予定で、音楽ライブ、演劇、スポーツなどの臨場感を楽しめる次世代型上映システム「3面ライブスクリーン」を広島県内で初導入する。2019年3月の計画発表から約6年が経過しており「オープンが待ち遠しい」と話す住民は多い。
ただ、地元住民や事業者から期待と注目が集まるなか、「やはり、広島駅周辺が一体となった再開発を望んでいた」との声が一部で出ているという。
どういうことなのか――。現在、広島駅周辺には百貨店「福屋」が入るエールエールA館、ビックカメラや病院がある「ビッグフロントひろしま」、蔦屋家電が入る「エキシティヒロシマ」などが存在する。そのうち、エールエールA館は1999年に一番早く開業しており、新規の商業施設が完成する度に、店舗が流出。今回のミナモア開業では、雑貨店の「ハンズ」が移転することが決まった。苦戦が続き、地元から「よく耐えている」との声もあがる。
そのため、各商業施設がオープンする時期を同じにして再開発していた方が「先行して開業したエールエールA館にとって良かったのではないか」という意見だ。
しかし、暗い話ばかりではない。エールエールA館は、2026年度に広島市立図書館が移転オープンする予定で、来店客の増加に期待がかかる。2024年5月には、広島銀行の広島東支店が7階に移転オープンした。有料の貸会議室を併設しており、清宗一男頭取は「地域のにぎわい創出につながれば」と話していた。
同店の移転では、店舗内店舗化した広島駅前支店が広島駅の再開発工事の影響で移転する必要があったことも理由の一つで、近隣に広島駅前支店を構える広島信用金庫の職員は「(同信金の店舗は)再開発地区から外れており、建て替えのタイミングを逃した」と苦笑いする。
広島市民が待ちに待ったミナモアの開業。新施設のみのにぎわいで終わらず、広島駅周辺の活性化につながるかに地元の期待がかかる。
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 【実像】保険会社の出向者引き揚げ、地域銀で窓販縮小の動きも
- MUFG、社員起案の新事業が始動 社会課題解決と収益貢献へ
- 金融庁長官に伊藤監督局長 後任に石田総括審議官 局長級以上9人が全員交代
- 金融庁・警察庁、メールにリンク先貼付禁止を検討 不正アクセス防止へ 「やり過ぎ」の声も
- 地銀、25年度上期の円建て保険 販売予想が一転弱気に
- 横浜銀、分業制でM&A高度化 対応力高め成約3割増
- 山陰合同銀、オムニチャネル化実現 25年度は応対自動化検討
- 地域金融機関、「レビキャリ」活用200件に 登録は180機関に増加
- 八十二銀、医療・介護の承継支援 外部機関と連携強める
- 日銀当座預金、「金利ある世界」で減る地銀 残高動向に業態差