苦情に学べ 迅速・早期解決がファン増やす
2025.02.08 04:10
苦情を分析し、マーケティングや顧客満足度といった分野で活用されている法則がある。よく「グッドマンの法則」(顧客ロイヤルティ協会・佐藤知恭氏)と言われている。
グッドマンの法則とは、米国政府が1970年代中頃~80年初頭に行った消費者からの苦情処理調査を担当したジョン・グッドマン氏が代表を務めていた会社が取りまとめたデータから、白鴎大学の経営学部教授などを務めた佐藤氏が消費者からの苦情処理とその再購入率の相関などを調査した結果を「グッドマンの法則」と名付けたものである。では、この法則(三つの法則)をご紹介しよう。
第1の法則は「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」。
例として、不満を申し立てた顧客の苦情に迅速に解決することができると、苦情を言ってきた顧客の82%がリピーターになるということである。苦情に迅速かつ適切に解決することの重要性を示している。
第2の法則は「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、2倍も強く影響を与える」。
いわゆるアナログ的な時代であっても非好意的な意見の影響力は大きかったということである。SNSの時代、この点は2倍の比ではないことは皆さんもご承知のことであろう。
第3の法則は「お客さまに適切な『情報を提供する(企業の行う消費者教育)』ことによって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」。
例えば、本屋さんのポップ、料理の調理レシピの提供など、より情報の提供を行えば商品購入につながっていく。
より直接的に関わるのは「第一の法則」ではないだろうか。苦情対応はどうしても後回しにしたり、対応が遅くなったりしてしまいがちであるが、迅速かつ早期に解決することでファンを増やし、そのファンの意見(苦情の対応と解決迅速であった)が拡散されることによりイメージが良くなると考えながら対応すれば、必ずしもネガティブなものにならないのではないだろうか。
金融監査コンプライアンス研究所代表取締役 宇佐美 豊
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