金融界、短プラ再改定へ 07年は地銀が先行公表 日銀再利上げ受け
2025.01.24 12:24
金融機関では、日本銀行が1月24日に決めた「0.5%」への再利上げを受け、短期プライムレートの再改定に踏み切る。今回と同様の引き上げ幅・水準となった前回(2007年2月)の再利上げでは、地銀が先行公表・改定。大手行などが後を追う格好となった。
ニッキンレポートの調査によると、前回の短プラ再改定時は、「0.5%」への政策金利引き上げを決めた07年2月21日から4営業日後の2月27日に、十八銀行(現十八親和銀行)が利上げ幅と同程度の0.25%ポイント引き上げ、2.250%にすることを公表(改定日は3月15日)。次いで、静岡銀行(2月26日公表、3月20日改定)や横浜銀行(2月27日公表、3月20日改定)、清水銀行(2月27日公表、3月26日改定)が続いた。
大手行は、6営業日後の3月1日に三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)が0.25%ポイント引き上げ、1.875%にすることを明らかにし、3月20日に改定。その後、他のメガバンクなども同幅の改定で追随した。改定日が最も早かったのは、当時の新銀行東京(現きらぼし銀行)で3月7日(3月6日発表)だった。
06年の「ゼロ金利解除時(7月14日に決定)」に次ぐ、〝2度目〟の改定で発表時期が集中。大手行や地域銀行の約90%が再利上げの決定から1カ月でのレート(再)改定を公表した。〝初回〟のゼロ金利解除時は60%だった。
今回の局面では公表時期が一段と集中化。24年7月末の追加利上げでは、利上げ決定当日(7月31日)に三菱UFJ銀が他に先駆けて短プラ改定を発表(9月2日改定)。その後の1カ月で、大手行や地域銀の95%超がレート改定を公表した。「17年半ぶりの短プラ引き上げだったが、追加利上げから間を置かないタイミングで相次ぎレートを公表して、メディアが繰り返し報じたことで『金利は周りも上がっている』との顧客認識が醸成された。金利引き上げ交渉に有利に働いた」(市場関係者)との見方も出ている。
一方、適用レートをホームページなどで公表しない先(引き上げ幅は開示)や据え置いた先も一部でみられた。
今回の再利上げ(1月24日決定)による対応では、年度末が近づくなかでの「再改定」が求められるため、レート改定時期を新年度(2025年4月)入り後に先延ばしする金融機関が一定数、出てくる見通し。
また、半年という短期間でのベースレート上昇のため、貸出スプレッド(上乗せ金利)を調整し、実際の適用金利を短プラの引き上げ幅より抑制する先が増える可能性もある。