柳沢祥二・全国信用組合中央協会会長 「課題解決のためのサポート力を向上」
2025.01.01 04:25年頭に当たり、信用組合が取り組むべき課題等について申し述べたい。
第一は「事業者支援の推進」。事業者の経営力、稼ぐ力を支援していくためには、各信用組合が事業環境の変化を的確に捉え、事業者の強みや地域とのつながり等を生かしつつ、支援専門機関等との連携強化に積極的に取り組み、一歩先を見据えた対応を行うことで、経営の持続可能性、成長機会の確保につなげていきたい。
第二は「組織力の強化」。人材の採用確保をはじめ、人材育成の充実、女性活躍の推進、職場環境の改善など人的資本経営への取り組みは、組織の新たな可能性、成長につながるものであり、地域・業域・職域のコミュニティを支える存在として信用組合の企業価値を高めるものと考えている。
第三は「リスク管理等態勢の強化」。金融犯罪やサイバーセキュリティの分野は、デジタル技術の発展などにより手口がますます高度化・多様化・巧妙化し、これまでよりも一歩踏み込んだ対策を講じていかなければ、金融機関の信頼性が損なわれる事態に陥りかねないと考えている。サイバーセキュリティ対策については、昨年10月に当局より示されたガイドラインに基づき、業界を挙げて着実な対応を進めていく。
第四は「DXの推進」。本会では、全信組連、信組情報サービスと連携し、さらなる信用組合の強み・特性の発揮に向けて業界のデジタル対応を推進すべく、引き続き、各信用組合のニーズや目指すべき将来像を見据えながら対応していきたい。
次に、本会の令和7年度の事業方針について触れたい。前述のとおり、信用組合は、様々な経営課題を抱えていることから、本会では、その役割を全うすべく、外部機関・関係団体とのネットワークを活かし、課題解決に係るサポート力の向上に努め、信用組合の適切な実務対応に向けた支援を進めていく。
また、「しんくみブランド」の認知・浸透に向けた広報活動については、次世代を担う若年層の取り込みに向けて、最も対効果が期待できるメディアを活用し、信用組合の役割や特色ある活動など動画等を通じて信用組合に対する具体的なイメージが想起できるよう、積極的な情報発信を行っていく。
さらに、研修事業の充実・強化については、若手職員から管理職までを対象とした階層別研修に加え、時流に合った適時・適切な研修メニューを用意し、各信用組合の人材育成に資する支援としての期待に応え得るためにも研修事業の充実・強化に積極的に取り組んでいく。