平松廣司・全国信用金庫協会会長 「さらに存在感を高める一年に」
2025.01.01 04:30中小企業が難しい経営課題に直面している今こそ、私ども信用金庫は、それぞれの地域において長年にわたり積み重ねてきた経験と知見、さらには信用金庫業界の全国ネットワークを最大限に活用して、地域やお客さまが抱えているさまざまな課題と真摯に向き合い、取引先中小企業、ひいては地域経済・社会の持続的な発展のために尽力していかなければならない。
信用金庫業界が特に重点的に取り組むべき課題について、いくつか申し述べたい。
第1点目は、「業界のデジタル戦略の推進」。業界がスケールメリットと総合力を発揮し、取引先の利便性の確保や金融にとどまらない信用金庫らしいサービスの提供、信用金庫が有するブランド力を訴求できるデジタルチャネルの構築に向け、全信協に設置したデジタル戦略専門委員会において検討を進めていきたい。
第2点目は、「業界のブランド力の向上と人材の確保」。昨年10月に俳優の伊藤沙莉さんを業界の新たなイメージキャラクターに迎え、「信用金庫って、そうなんだ。」というキャッチフレーズによって、信用金庫の魅力を伝えていく新たな業界広報活動をスタートさせた。地域に寄り添い、地域を全力で支える信用金庫の姿を様々なメディアを通じてイメージしていただき、共感を呼び起こすことができれば、若年層との取引面だけでなく、人材獲得の面でも大きな効果が得られるものと期待している。
第3点目は、「人的資本経営の取り組みと組織力の向上」。人的資本経営による組織力の向上によって、信用金庫は地域社会に貢献し、持続的な成長を遂げることができるものと考える。全信協においても、人的資本経営の推進に関し、先進金庫の取り組み事例の紹介や各種セミナー・研修を実施していくことで会員信用金庫を側面からサポートしていく。
第4点目は、「経営管理態勢の充実・強化」。日本銀行の金融政策の動向等を踏まえた適切な金利リスク管理をはじめ、利用者保護やコンプライアンスなどを常に念頭に置き、その経営管理態勢の充実・強化を図ることが肝要だ。こうした観点から、本年も特殊詐欺などの金融犯罪防止やサイバーセキュリティ、マネロン・テロ資金供与対策強化といった問題に引き続き適切に対応していきたい。
本年も、信用金庫がそれぞれの地域になくてはならない金融機関としての役割を果たし、さらに存在感を高めていく一年にしたい。