京都信金、スクールバス運行 支援 相談受け、事業者仲介
2024.12.04 04:40
京都信用金庫(京都市、榊田隆之理事長)は、京都市内の「バス難民」解消に取り組んでいる。通学時間帯の混雑に頭を悩ませていた地元の学校から相談を受け、事業者を仲介。1年以上かけてスクールバスの運行にこぎつけた。
近年、京都市内は観光客が増え、住民が乗車できないほどのバスの混雑や交通渋滞が深刻化。市内中心部や観光地以外でも、生徒がバスに乗車できない問題が発生している。
同信金北野支店(津田郁太支店長)の渉外担当・塩山恭平主任は、2023年初めに洛星中学・高校から通学バスに関する相談を受けた。生徒数は、中高合わせて約1300人。嵐電北野白梅町駅から徒歩圏にあるが、阪急西院駅やJR円町駅などからのバス利用も多く、「多数の生徒が乗車すると住民が乗車できない。長年苦慮していた」(同校を運営する学校法人ヴィアトール学園の南出貴志・理事事務局長)という。
郊外の学校がスクールバスを運行するケースは多いが、市街地では道路事情もあり導入のハードルは上がる。同校も生徒専用バスの導入を検討していたが、ニーズに合う業者がなかなか見つからない状況だった。
相談を受けた塩山主任は同信金内のマッチング掲示板に「学校法人によるバス運行について」の相談を投稿。すぐに十条支店から取引先であるバス運行事業者の紹介があった。
23年10月に試運転を実施。ところが、「長時間駐車できる場所がない」「大型バスでは通学ルートが大回りになる」「遅延が発生」などの問題が浮上した。運行ダイヤの調整や、小型バスの利用など試行錯誤した結果、利用対象を最年少の中学1年生に限定。ルートは、バス利用が多い西院駅から円町駅を経由するコースとした。
24年7月、本格運行を開始した。朝は大型バス1便、夕方は小型バスで16時から18時まで30分間隔で運行する。停留所は、市バスの停留所から少し離れた場所に設置し、混雑緩和を図った。
生徒が専用バスを利用すれば、住民が乗車しやすくなる。「社会課題解決の一助になれば」(南出理事事務局長)とし、同信金について「レスポンスが早く親身に対応してくれ、ありがたい」と喜ぶ。
本格運行から約4カ月が経過し、生徒や住民からも好評。利用状況をみながら、今後拡充を検討するという。同信金では「これからも地域に寄り添い、課題解決を図っていく」(ゆたかなコミュニケーション室)としている。
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