【REVICインタビュー】地域経済活性化支援機構・渡邊社長に聞く 事業再生を後押し
2024.11.20 04:40
地域経済活性化支援機構(REVIC)は、地方銀行など地域金融機関を対象に事業再生支援をテーマにした研修をしている。知見やノウハウを提供し、レベルの底上げにつなげてもらうのが狙い。2024年度は88機関から151人が受講する。渡邊准社長に、金融機関の取引先企業を取り巻く経営環境や研修内容のポイントを聞いた。(岩佐昌洋)
事業再生支援のニーズは増加傾向
――原材料高や人手不足など中小企業にとって厳しい経営環境にあります。
「コロナ禍における政府の支援策で倒産は抑制されていたが、今後はその揺り戻しが起きることが想定される。全国の倒産件数は、2009年3月の1537件をピークにして約10年間減少トレンドが続いた。2019年3月から増加の兆しがあったが、2020年3月以降はコロナ禍の政府支援策で一旦減少に転じた。2022年後半から再び増加の兆しがある」
「地域銀行の与信コストは、コロナ禍前の2018年3月から一般貸倒引当金繰入額と個別貸倒引当金繰入額がともに増加している。コロナ禍前から続く中長期的なトレンドとして、事業再生支援ニーズは増加傾向が続くと見ている」
――2023年から開始した「事業再生支援高度化研修」の目的は。
「地方銀行など地域金融機関に事業再生支援の経験を持つ人材が不足しており、我々が持つ知見やノウハウを提供することが狙いだ。研修は東京と大阪で日程を複数に分けて開催しており、参加金融機関のなかには受講者を代えながら、自機関の人材育成に生かしているケースもある。2024年度は、新たにメガバンクや信用金庫の受講者も出てきている。またREVICでは現在、地銀などの出向者を10人程度受け入れており、こうした人材も各金融機関の融資部や審査部などで活躍することになる」
他金融機関の考え方を知る
――事業再生支援のポイントは。
「知識や経験が重要なのは当然だが、チームで動くことだ。事業再生支援は、さまざまな関係者が議論しながら、作業を進めていくことになる。今回の研修では、受講者が5人程度のチームになって、ディスカッションすることを中心にしている。金融機関ごとに考え方や目線が異なるので、こうしたことを肌で感じるのは貴重な経験となるだろう」
「もう一つは、早期に着手することだ。事業再生支援は着手が遅くなるほど選択肢が限られ、金融機関の貸出金の回収額が少なくなる。早期の着手によって事業再生手法の選択肢を多く持つことが回収額の極大化に有効で、事業再生の可能性を高めることになる」