【推薦図書】『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳)
2024.11.15 04:30
【推薦者】信金中央金庫常務理事・高橋 裕司氏
不合理からの学び
この本は、行動経済学研究の第一人者であり、そのユニークな実験研究でイグ・ノーベル賞を受賞したこともあるデューク大学のダン・アリエリー教授がリーマン・ショックのさなかの2008年に刊行した著書である。
伝統的な経済学では、人々は常に合理的な判断に基づいて行動することが前提になっているが、現実世界の人々は、実際には不合理な判断や行動をとることが少なくない。
人がなぜ、そのような不合理な行動をとるのかを証明するため、「そこまでするか」とも思える実証実験も行いながら、その謎を冷静に解き明かしている。
特に必要ではなかったものを買ってしまったり、実行すると心に誓ったのに先延ばしにしたり、人がついやってしまう「不合理な判断」と行動を自覚させられ、また今後に向けた反省も促される。
全体としてボリューム感のある書籍だが、非常にわかりやすく面白く書かれているのでテンポよく読み進めることができ、行動経済学に初めて接する人がイメージを理解するのに非常に良い本だと思う。
人は不合理であることも認識したうえで、合理的に考え、ビジネスや生活に生かすことが重要だと考えさせてくれる。
(早川書房、税込み1210円)
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 北陸銀と北海道銀、営業支援システム導入 年18万時間の作業削減
- 金融界、「隠れリース」特定に本腰 27年の新基準適用迫り
- 群馬銀、ストラクチャードファイナンス3年5.7倍 RORA向上に寄与
- 金融庁、決算書入手方法を調査 地域金融の実態把握へ
- 京都中央信金、理事長に植村専務が昇格 白波瀬氏は代表権ある会長へ
- 福井銀、野村証券と包括提携2年 預かり残高5000億円超
- 固定型住宅ローン、金利〝決め方〟見直し機運 参照指標「再検討」も
- メガバンク、上場廃止増えLBOローン好調 三菱UFJ銀は管理高度化
- 信金、店舗減少が小幅にとどまる 職員数推移との格差鮮明
- 地域銀・信金、NISA口座伸び悩む 3カ月の増加率1%