ネット銀、「長い定期」で金利攻勢 銀行・信金と明確な差
2024.11.07 04:40
インターネット専業銀行が預金市場で金利攻勢を強めている。利上げ局面に入り、実店舗を持たない事業特性を背景に、高金利で「長めの定期」を中心に預金客を囲い込む戦略だ。9月時点の店頭表示金利(平均値)に基づく日本銀行の調査・分析(表)では、ネット銀と銀行・信用金庫の「5年定期」の金利差が、0.1%を超えた。預入期間と同等の年限の国債利回りを上回る金利を示す銀行もある。
デジタル金融サービスの浸透で存在感を高めたネット銀は、今回の利上げ局面で軽量・効率化を追求するビジネスモデルをベースに金利設定面で銀行や信金に対して優位に立つ。「預け入れる期間より金利水準の高さに目を向けがち」(市場関係者)な消費者行動を早期につかみ、「長めの定期」を積み上げていく戦略が透ける。実際、預入期間が長くなるほど金利差は拡大している。
ネット銀の台頭は、地域金融機関の預金戦略を問い直す。前回の利上げ時(2006~07年)と比べて預金保険制度対象の「1000万円以下」、粘着性の比較的高い「個人」の預金割合は低下。相続による都市部への流出も続き、本格的な残高減少を見据えて、市場金利を上回るキャンペーン金利で預金獲得に力を注ぐ地域金融機関が広がる。
ただ、横にらみの金利追随姿勢は自行庫の首を絞めかねず、経営モデルや財務内容に応じた金利プライシングが求められる。
預貸率が50%を割る地域金融機関は少なくない。「預金の必要性を冷静に見つめ直すタイミング」(複数の金融機関関係者)と、急膨張する調達コストに目を向けた戦略の練り直しを訴える声も強まる。
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