夢育む資産形成コンサルタント【為替レート】の解答

2024.11.01 04:30
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為替レートの変動は大きなインパクトとなる場合も


もはや投資信託の代名詞ともなった通称「オルカン」。「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」という、47カ国・地域の約2800の大型株と中型株で構成され、世界の株式時価総額全体の約85%をカバーしている指数に投資する投資信託ですね。


分散投資の観点から言えば、オルカンのように投資可能な世界中の株式に、幅広く分散させて投資した方が効率的です。しかし、プロの投資家でも自国資産への投資に多めに配分することが多いと言われています。


ホーム・カントリー・バイアス


このような自国への投資を優先する姿勢を投資の世界では、「ホーム・カントリー・バイアス」と言います。自国の資産に多く投資することは必ずしも合理的な行動とはいえません。しかし、海外資産は情報収集が難しかったり、十分に理解することが難しかったりします。また、問題編で見てきたように、為替レートの変動というリスクは無視できないものがあります。


それゆえ、どの国の投資家も多かれ少なかれ「ホーム・カントリー・バイアス」がかかった投資行動を取るのは共通する傾向です。


さて、上述のACWIの指数のなかで、日本株が占める割合はどのくらいでしょうか?


プロのスタンスをまねしてみる


オルカンを運用する三菱UFJアセットマネジメント作成の交付目論見書によれば、日本株が占める割合はわずか5.5%です。世界中の株式市場に投資できることは魅力ですがそれは同時に、投資資金をオルカンに投資すると、その94.5%が各国の為替レートの影響を受けることに他なりません。かなり大きな為替レート変動リスクを取ることを理解したうえで、お客さまが投資する際には過度なリスクを取ることにはなっていないか、時間分散は図られているかに留意し、先ほど紹介した「ホーム・カントリー・バイアス」のスタンスで、プロと同じく保守的な姿勢で臨むのもありではないでしょうか。 


解説 


外国証券投資の円ベースでの運用利回りの求め方は、為替レートの換算が入るほかは、円ベースの運用利回りの求め方と同様です。


為替レートについては、顧客が円を外貨に交換する際には、TTSが適用されます。逆に外貨を円に交換する際には、TTBが適用されます。この問題では、これらのレートの使い分けが必要となります。以下、順を追って解説します。


①単価100ドルの米ドル建て債券を購入するために、購入時のTTSレートで米ドルを購入するので、円ベースの投資額は、100ドル×100.00円/米ドル=1万円となる。


②1年後、4ドルのクーポンを受け取るとともに、この債券を101ドルで売却するため、得られる金額は4ドル+101ドル=105ドルとなる。


③この105ドルを円に戻すためにTTBのレート90円/米ドルで売却すると、円建てで得られる金額は、105ドル×90.00円/米ドル=9450円となる。


④当初1万円を投資し、1年後に9450円を得たのであるから、運用利回りは、(9450円-1万円)/1万円=△0.055(△5.5%)となる。


正解は A


4%ものクーポン収入が稼げて、しかも保有して1年で買値より高い値段で売却できた、ラッキー♡と思いたいところですが、1年後の為替レートは円高ドル安になったのでドル建ての資産が目減りしたインパクトの方が大きく、結局運用利回りはマイナスと、損失が発生してしまいました。


※本コーナーは、資産形成コンサルタント資格(公益社団法人日本証券アナリスト協会)テキスト・問題集をもとに編集したものです。


 

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