地域銀、電子メール運用見直し 業務・セキュリティー改善で
2024.09.27 04:50
地域銀行で、電子メールの運用方法を見直そうとする動きがある。業務やセキュリティー面の改善を目的に、新たなシステムの導入を検討している。電子メールの運用については「改善すべき点を感じていたが未着手」(地域銀関係者)のケースも少なくないとみられ、見直しの動きが広がる可能性がある。
ある地域銀は、対外的なメールアドレスを本部の部署や営業店ごとに付与している。一つのメールアドレスを複数人で利用することで、属人化の解消や不祥事防止などのメリットがある。ただ、特に本部の部署には大量のメールが毎日届き、各担当者への振り分け作業が発生している。また「既読」の表示によって「対応済み」と誤認したり、同じ先への対応が重複するなどの課題があった。
メール管理システムを提供するキー・ポイント(神戸市)には、地域銀からこうした相談が寄せられている。大西正晃社長は「メールアドレスを共有する方法を継続しながら、業務を改善したいという要望がある」と話し、同社のシステム導入が地域銀2行で内定したことを明らかにした。現在は地域銀など地域金融機関約40先に接触しているという。
取引先などへ電子ファイルをメール送信する手段を、「PPAP」から切り替えることを検討する動きもある。暗号化されたZIPファイルをメールに添付して送信し、解凍パスワードを別途送るやり方だが、「セキュリティーの強度に不安がある」(システム関係者)ことが理由。PPAPを採用している金融機関は地域銀以外にも多いとみられる。
日本政策金融公庫は1月、電子ファイルの送信方法をPPAPから変更した。添付ファイルを格納する外部の「ファイル共有サービス」を導入。ファイルを送信する際、メールに同サービスのURLを記載し、受信者がアクセスしてダウンロードする仕組みで、「情報セキュリティーが強化された」(日本公庫担当者)という。
【業務効率化の関連記事】
・福島銀、デジタル戦略実現へ布石 新基幹システム 順調に稼働
・全信組連広島支店、IT・DX推進会議を開く 中・四国の9信組が集結
・八十二銀、デジタル改革 加速 独自DBと生成AI活用
・山口FG、AIで面談記録 ソフトバンクなどと共同開発
※この記事は2024/10/11にfree記事に変更しました。
関連記事
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 北陸銀と北海道銀、営業支援システム導入 年18万時間の作業削減
- 金融界、「隠れリース」特定に本腰 27年の新基準適用迫り
- 群馬銀、ストラクチャードファイナンス3年5.7倍 RORA向上に寄与
- 金融庁、決算書入手方法を調査 地域金融の実態把握へ
- 広島銀、請求書業務のDX後押し 新システムで決済口座確保
- 京都中央信金、理事長に植村専務が昇格 白波瀬氏は代表権ある会長へ
- 固定型住宅ローン、金利〝決め方〟見直し機運 参照指標「再検討」も
- 地銀、外貨保険販売が36%減 24年度下期、10万件割れ
- 信金、店舗減少が小幅にとどまる 職員数推移との格差鮮明
- 地域銀・信金、NISA口座伸び悩む 3カ月の増加率1%