苦情に学べ SNSへの投稿に適切対応を

2024.09.07 04:10
苦情に学べ
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苦情に学べ

某芸能人のSNSへの書き込みに対する別の芸能人の書き込みを巡る話題は記憶に新しいところである。


今の時代、苦情・相談はSNSやウェブサイトなどで展開され、この傾向は増加している。例えば、金融庁の金融サービス利用相談室における相談などの受付状況を見ても、ネット利用の増加率には目を見張るものがある。


さて、こうしたネットの苦情・相談について難しいのはその対応である。例えば、過去主流であった電話の場合、基本的には1対1の対応だが、ネット、特にSNSでは苦情・相談の投稿者以外の多くのユーザー、また、そもそも関係ないSNS利用者まで対応しなければならないケースもある。


相談受付方法別件数(苦情に学べ SNSへの投稿に適切対応を)


こうしたSNSの苦情・相談に対して金融機関として適切に対応しなければ、大きな信用失墜に繋(つな)がってしまうことになる。では、金融機関としてどう対応すべきであろうか。よく言われることであるが、SNSにおける苦情などについて、その内容が顧客の主観に基づくものであったとしても早急に対応するべきであると言われている。


具体的には、その苦情などの投稿内容について事実確認し、結果的に顧客の主観であったとしても、金融機関としての考え方などを伝えることが基本と言われている。


また、SNSの苦情などが広く拡散されてしまって、いわゆる“炎上”しているケースも考えられる。こうした場合は、先述同様に金融機関として適切に対応していく旨を公表し、真摯(しんし)に対応を続けることが必要である。


いずれにせよ、担当の部門はこうしたSNSの苦情などに係る対応について、ルールなどの整備・研修などで、SNSの苦情などに係る危機管理、危機感の共有化を早急に進めていかなければならない。


では、現状はどうか。いろいろと取材してみると、若年層の行職員はSNSの炎上などで、その影響力を身近で経験していることもあり、具体的にこうした事象の重大性を認識しているが、経営陣や上級幹部は言葉で表現はしているものの、その認識はまだ薄い方が多く、SNSの苦情などのリスク認識に大きなギャップがあると思う。


特に地域金融機関の経営者は、SNSの苦情などへの適切な対応を行わないことが自金融機関にどれだけのダメージを与えることになるか今、一度再認識すべきである。


金融監査コンプライアンス研究所代表取締役 宇佐美 豊

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