住友生命系少短、熱中症保険(PayPay専用商品)が6.5万突破 猛暑で3倍、他社も参入
2024.07.20 04:45
「住友生命系少短、熱中症保険(PayPay専用商品)が6.5万突破 猛暑で3倍、他社も参入」ニュースの要約
・住友生命グループの「アイアル少額短期保険」が開発した「熱中症お見舞金保険」は24年度の加入件数が7月11日時点で6万5000件を突破、前年同時期の約3倍
・全国的な猛暑と「熱中症特別警戒アラート」運用開始により、熱中症対策意識の高まりが販売増加の要因
・同保険は月額型と期間選択型の2種類、スマートフォンで申し込みから決済まで完結
・保険金は診断書不要で請求日から最短即日支払われ、PayPay決済やポイント付与も可能
・好調な実績により他社も参入、東京海上系の「Tokio Marine X少額短期保険」がd払いアプリで同様の保険を提供
住友生命保険グループに所属する「アイアル少額短期保険」が開発・引き受けし、PayPayの専用商品として販売を行う「熱中症お見舞金保険」は、2024年度の加入件数が7月11日時点で6万5000件を突破した。去年の同じ時期と比べ約3倍と急増。7月は年間で最も申し込みが集中する時期で、今後も増加が見込まれる。
同商品は22年4月に発売され、24年度実績は、22、23年度それぞれの累計契約件数をすでに上回っている。今年は7月7日に静岡市駿河区で今年初の40度を記録するなど、全国で猛暑が続く。政府が4月から「熱中症特別警戒アラート」の運用を始め、社会的に熱中症対策の意識が高まっていることも、販売増の要因だ。
同保険は、熱中症を原因として治療や入院をした際に5000~3万円の保険金を支払うもの。「月額型」と、最長7日間まで1日単位で加入できる「期間選択型」の2種類があり、スマートフォンだけで申し込みが完結する。保険料は、月額型が200~240円、期間選択型が100~240円。診断書なしで保険金の請求が可能で、請求日から最短即日で支払われる。PayPayの残高・ポイント・クレジットで決済し、保険加入によりポイントも付与される。
アイアル少短の安藤克行社長は「『夏といえばこれ』という風に定番化し、認知度も年々高まっていると実感している」と話す。
好調な加入件数をみて、他社も市場に参入。東京海上系の「Tokio Marine X少額短期保険」は、6月末からNTTドコモのd払いアプリ内の保険ポータルサイトで、熱中症お見舞金保険の提供を始めた。1日80円から加入でき、1回の申し込みで家族が一緒に加入可能だ。
ニッキンオンライン編集デスクの目
2023年の5月〜9月は、国内の熱中症による救急搬送者数は約9.1万人で、2008年の調査開始以降2番目 に多い。救急搬送者数の増加は、ヒートアイランド現象や高齢化の進展が要因として指摘されている。
今後も気候変動の影響によって熱中症リスクが上昇する可能性はあるだろう。熱中症になれば医療費の支出だけでなく収入にも影響が出る。入院や治療が必要になれば経済的負担も大きく、熱中症保険の需要は少なくない。今後も加入件数の増加が見込まれるだろう。
熱中症は特に高齢者や子供にとってリスクが高いため、今後はこのような層に特化した保険も登場するだろう。すでにソフトバンクの「子供のあんしん保険 」には熱中症危険補償が付帯している。患者数が増えるようであれば、新たに熱中症保険に参入する保険会社も増加するだろう。
従来の保険商品は対面販売を前提とした長期契約が主流であったが、近年はスマートフォンで完結する短期型の保険商品も少なくない。今回の商品もPayPayで決済できるという利便性を備えた。
デジタル完結型保険は簡便に契約できるが、特有の課題も存在する。デジタルリテラシーが低い層への対応は不可欠だ。保険業界はイノベーションと消費者保護のバランスを取りながら、新たな保険サービスの開発を進めていく必要がある。
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