神奈川県、動産・知財の評価費用を補助 7金融機関で新制度スタート
2024.06.03 16:45
神奈川県は6月3日、県内の中小企業・小規模企業が金融機関から融資を受ける際に、動産や知的財産権の資産評価費用を補助する制度を開始した。金融機関が経営者の個人保証に依存せず、事業性に着目した融資に取り組むように後押しする狙いがある。動産の資産評価費用を補助する事例は他の自治体にもあるが、知的財産権まで対象にするのは全国的にも珍しいという。
制度の名称は「エコアセットかながわ」。スタート時点の取り扱い金融機関は5銀行(横浜、神奈川、きらぼし、静岡、スルガ)と2信用金庫(かながわ、城南)の計7機関。県内に本支店のある金融機関であれば取り扱いが可能なため、今後も増える見通しだ。
中小企業には資産評価費用の2分の1(上限40万円)、小規模企業には3分の2(同)を補助する。県が金融機関に補助金を支給し、それを金融機関から企業に渡す間接補助金の形式となる。
資産評価の結果は、企業と金融機関が共有する。ただ、資産評価をした動産や知的財産権の担保設定は必須としない。県は2024年度予算で3500万円の事業費を計上しており、年間で100件程度の利用を見込んでいる。県議会の承認を前提に、来年度以降の継続も視野に入れている。
この制度を利用できる企業は、脱炭素に取り組む中小企業・小規模企業に限定する。具体的には、再生可能エネルギー発電設備や省エネ設備などの導入企業、脱炭素関連の認証を受けている企業などが対象になる。この制度を利用した借入金の資金使途は脱炭素に限定しておらず、県内の事業活動であれば自由に活用することができる。
産業労働局中小企業部の大居ゆう子・金融課長は、この制度の狙いについて「(金融機関が)不動産担保や連帯保証人に依存することなく、中小企業が持つ事業の将来価値を適切に評価して融資に活かしてくれるよう支援したい」と強調した。
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 中堅の外資生保、乗合代理店からの要求に苦慮 変額保険手数料で
- 八十二銀、AIモデル開発50種に 投信販売モニタリングも
- 広島銀、金利再来でALM改革 各部門の収益責任 明確に
- 多摩信金、住宅ローン168億円増 業者紹介案件が4割強
- 金融庁・警察庁、URL貼付禁止案を軟化 銀行界から反発受け 不正アクセス防止で
- カムチャツカ半島付近でM8.7の地震 一部金融機関の店舗で臨時休業
- 金融庁、障害対応の強化要求 クラウド利用拡大で
- 地域金融機関、半数の250機関が預金減 金利戻りパイ奪い合い
- あおぞら銀の中野さん、金融IT検定で最高点 専門部門との対話円滑に
- 信金界、「ことら送金」240信金に拡大 周知姿勢で温度差も