バンカーの幸せ⑩(最終回)~金融の仕事は“幸せ”に通じる

2024.06.09 04:55
バンカーの幸せ
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク
バンカーの幸せ(新田信行)

「バンカーの幸せ」のお話しも今回が最終回になります。これまで「幸せの4因子」をベースに、四つのポイントについてお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか?


最近、若手の退職が多いとの声をいろいろな金融機関から聞かされるのは大変残念なことです。金融の仕事は本来人々や社会を豊かに幸せにするものであり、そこで働く人にとっても、仕事を通じて充実した幸せな人生をもたらしてくれるものであって欲しいと思います。自社の組織文化が、幸せの4因子どころか、不幸の4因子になっていないか? 見直してみることが必要かもしれません。


まず「やってみよう」因子。金融の仕事を通じて自らが成長し自己実現が図れているか? この成長とは単に知識やスキルの成長だけではなく、心の成長も伴うものであって欲しいですね。ノルマや、やらされ感でいやいや仕事をするのは、不幸の因子です。


 次に「ありがとう」因子。金融の仕事を通じて、世のため人のために尽くせているでしょうか? たくさんのお客さまと感謝のつながりが出来たら素晴らしいですね。逆に、自分さえ儲かれば良いという利己的な心は不幸の因子です。


そして「何とかなる因子」。明るい未来を想い、仕事を通じてその実現に向けて行動が起こせているでしょうか? お客さまと共に明るい地域社会を創りあげていきたいですね。反対に未来は真っ暗だと自分の心まで暗くしてしまっては不幸の因子です。


最後に「あなたらしく」因子。自分の長所を伸ばし、自分らしく仕事に取り組めているでしょうか? 更に他の人の長所にも素直に目を向けたいものです。せっかくの自分の個性を殺し、他の人の欠点ばかり見ていては不幸の因子になります。 


不幸の因子は、会社が悪い、上司が悪いという気持ちから増幅します。むろん、組織文化を改善していくことは重要ですが、まず自分の心から変えていくことが最初のスタートになります。それが周囲に広がっていくことが、実は組織文化を変えていくことになります。


今、時代は転換期にあり大きく動いています。その中で、金融機関のあり方や、そこでの働き方も変わっていく必要があるでしょう。若い人たちが明るい未来に向けて、伸び伸びと行動できる組織文化を創りあげていただきたいと思います。


金融機関で働かれている全ての皆さんが、金融という仕事を通じて、充実した幸せな人生を送られることを強くお祈りして、本稿の結びといたします。


①~⑨はこちらからご覧いただけます。


 



筆者プロフィル



新田信行(にった・のぶゆき) 開智国際大学客員教授、一般社団法人ちいきん会代表理事。



千葉県出身、1981年一橋大法卒、第一勧業銀行(現みずほ銀行入行)、みずほフィナンシャルグループ与信企画部長、みずほ銀・銀座通支店長、同・コンプライアンス統括部長を経て2011年みずほ銀常務執行役員。2013年第一勧業信用組合理事長、同会長、2021年退任。2016年黄綬褒章受章。



著書 「よみがえる金融」(ダイヤモンド社)、「誇りある金融」(共著、近代セールス社)、「リレーションシップバンキングの未来」(共著、金融財政事情研究会)



新田信行氏の過去の連載 はこちら   アフターコロナへの展望(全10回)


 

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

バンカーの幸せ

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)