電子納付普及へ「官民一体で」 国税庁や日銀、民間金融機関が〝全国宣言〟
2024.05.30 19:24
官民一体でキャッシュレス納付のさらなる普及を――。国税庁や日本銀行、民間金融機関の業界団体・上部機関など23団体は5月30日、国税・地方税の電子納付の全国的な推進を目指す宣言式を開いた。現状、金融機関窓口などでの現金納付が主流で、電子納付比率は4割に満たない。納税者、金融機関双方の事務負担やシステムコストを押し上げており、企業経営者・経理担当者らの認知度向上や意識変化の促進へ団結する。
宣言式には、住澤整・国税庁長官のほか、総務省や日銀、全国銀行協会など業界・関係団体の代表者が出席。住澤長官は「依然として金融機関や税務署での納付手続きが大半を占めている。より連携を深めてキャッシュレス納付の利便性を知っていただくことが重要」と意義を訴えた。
金融機関の代表として挨拶した貝塚正彰・日銀理事は「宣言を機に、行政や金融機関、関係団体の連携を一段と深め、関係者が一体となってキャッシュレス納付の利用拡大に向けた取り組みを推進していく」と意気込みを語った。
これまでキャッシュレス納付の普及に貢献した3行(りそな銀行、埼玉りそな銀行、北国銀行)も参加。住澤長官から各行代表者に感謝状が手渡された。
埼玉りそな銀の福岡聡社長は「納税は、公共サービスの向上や所得の再分配など巡り巡って、納税者自身の暮らしの向上につながる。(電子納付を)しっかりと推進していきたい」と使命を語り、北国銀行の杖村修司頭取は「日頃から取引先と接する現場の地道な取り組みが利用率の向上に結び付いている」と営業店行職員などへのねぎらいの気持ちを述べた。
法人税や源泉所得税といった国税・地方税の納付は、「窓口」が全体の64%(2022年度の件数ベース)を占める。金融機関への移動や書類の仕分け・確認作業など納税者、金融機関双方のコスト負担が課題になっている。
国税当局は、そうした社会的コストの縮減を目的に、電子納付比率を25年度までに4割へ引き上げる目標を掲げ、日銀や民間関係機関と連携。国税電子申告・納税システム(e‐Tax)などの認知度向上、利用促進に力を注いでいる。