【推薦図書】『スタートアップとは何か――経済活性化への処方箋』(加藤雅俊著)
2024.05.31 04:30
【推薦者】日本銀行調査統計局長・中村 康治氏
スタートアップをより深く知るために
生産性の高いスタートアップ企業を数多く育てることは、一国の経済成長を高めるうえでも、また、金融ビジネスの収益性を高めるうえでも、重要な課題と認識されている。もっとも、スタートアップについては、GAFAなど一部の成功したスタートアップの成功体験が語られることが多く、スタートアップの実相について理解することは難しい。本書は、古今東西の膨大なスタートアップに関する学術的な実証分析結果をコンパクトに取りまとめたものである。
本書では、起業家のタイプやそれに伴うスタートアップの異質性から始まり、スタートアップの登場と成功の要因、海外との比較における日本のスタートアップの特徴、スタートアップの成長への処方箋(せん)などについて、網羅的に学術論文のサーベイを行っている。
また、どのような政策が生産性の高いスタートアップを生み育てることに貢献するかについても考察を加えている。著者は、長期的な観点からの環境整備と、政策の事後的な検証の重要性を強調する。
断片的に語られることが多いスタートアップの特徴について、本書は、客観的なデータに基づいて、さまざまな論点を提示してくれるため、1冊でスタートアップを包括的に理解することができる。
(岩波新書、税込み1232円)
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