第一フロンティア生命、外貨建て保険の販売体制支援 販売時や研修ツール作成
2024.05.16 16:47
「第一フロンティア生命、外貨建て保険の販売体制支援 販売時や研修ツール作成」ニュースの要約
・第一フロンティア生命保険は提携販売会社に外貨建て保険の販売体制整備を支援
・販売説明ツールと担当者向け研修ツールを作成し、4月以降、販売各社が活用
・金融庁が外貨建て保険販売姿勢を問題視したため、2023年12月から2024年2月に提携先金融機関を訪問し、六つの課題に対応策を提供
・「外貨建て一時払い保険の主なリスク」ツールで金利や為替の影響を説明、ターゲット特約関連の対話ポイントも提供し好評
・マーケット戦略部は解約返還金への金利影響を説明することが課題とし、金利・為替リスクに関する内容を汎用的に説明可能な形で提供
第一フロンティア生命保険は、提携販売会社に対して、外貨建て保険の販売体制整備を支援している。顧客の最善利益の追求に向けた取り組みに関する情報を提供し、協働で体制を強化。販売時の説明ツールや担当者向け研修ツールを作成した。4月以降、販売各社が活用している。
金融庁が地域金融機関の外貨建て一時払い保険の販売姿勢を問題視したことから、第一フロンティア生命は、2023年12月~24年2月にメガバンクを含むすべての金融機関など提携会社を訪問。担当セクションの部次長クラスと面談した。
面談時には、(1)商品導入(2)提案・販売(3)他の金融商品との比較――など、整理した六つの課題への対応策を提供。問題視されたターゲット特約関連やアフターフォローは別枠で情報を提供した。
販売体制支援策として、提案・販売時での金利や為替の影響に関する説明ツール「外貨建て一時払い保険の主なリスク」、ターゲット特約関連では、目標値設定時の顧客との対話ポイントをまとめた担当者向け研修ツールをそれぞれ作成した。
研修ツールは、「代理店に寄り添った貴重なツール」(地域銀行)と好評を得ている。
マーケット戦略部は、「解約返還金に与える金利の影響を分かりやすく説明することが課題」とし、説明ツールでは中途解約時の金利変動リスクや、円での受け取り時の為替変動リスクについて言及した。それぞれの解約返還金額への影響を提示するなど、汎用的に説明可能な内容とした。
そのため、「特定の商品を推奨するものではなく、他社の商品提案時や必要に応じてアフターフォローにも活用できる」(マーケット戦略部)という。
ニッキンオンライン編集デスクの目
外貨建て保険商品は1990年代から日本でも販売 され、資産運用手段のひとつとして注目を集めてきた。2022年には円安基調や日米金利差の拡大を背景に外貨建て保険の販売が急増し、第一フロンティア生命をはじめとした外貨建て保険商品の販売額は約1.4兆円 に達している。
外貨建て保険には為替リスク、金利差による利回りの影響、解約返戻金の元本割れなど、複雑なリスク構造が存在する。市場環境によって期待リターンが大きく変動する特性があるため、販売時の説明責任は極めて重要だ。
金融庁は2021年以降「保険モニタリングレポート 」を作成して保険行政の透明性を高めているが、外貨建て保険のリスクを正しく理解できていない加入者は多い。高齢者への販売や解約返戻金に関する説明不足も問題視されている。
保険業界におけるフィデューシャリー・デューティーは、2017年の「顧客本位の業務運営に関する原則 」公表以降、重要な経営課題となっている。しかし、金融機関と保険会社間における認識と取り組みのギャップは常に指摘されてきた。
第一フロンティア生命による販売体制整備支援は、このような課題に対する包括的なアプローチとして評価できる。商品提供者である保険会社が販売会社の体制強化を直接支援する取り組みは画期的だ。