【推薦図書】『メンタル脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳)
2024.05.10 04:30
【推薦者】住友生命保険執行役専務・栄森 剛志氏
よりよく生きる処方箋
中高生向けに書かれた進化心理学の入門書。「なぜ私たちは生きているのか」から始まり、「なぜ不安を感じるのか」「なぜ記憶に苦しめられるのか」といった身近であるが対処が難しいテーマを進化心理学と脳科学の見地から平易な言葉で解説する。
人間の脳は、群れから追い出されることが確実に死を意味した人類史のなかで最適化された。そのため、脳はグループ内でのヒエラルキーを常に気にしているという。意識しなくても頻繁にスマホをいじってSNSやチャットを確認する。そして他人のキラキラした投稿を見て自分と比較する。自分の投稿への反応が気になる。結果が良ければうれしいと感じ、悪ければ不安が増大する。そのストレスが積み重なることで心の健康を害するのである。そのようなコントロールできない心の成り立ちを知ることがリスク回避の第一歩となる。
著者の母国・スウェーデンでは多くの学校でこの本が無料配布されているらしい。自分の心の仕組みを知っておくことは、若者にとってどんな学問よりも大切なことだからだ。そしてそれは、よりよく生きたいと願う大人にとっても必要な処方箋(せん)だ。
(新潮新書、税込み1100円)
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- MUFG、大谷翔平選手との契約が終了 ブランドパートナーとして6年間
- NTTドコモ、銀行業参入に結論出ず 前田社長「なんとか進めたい」
- 自民党、郵政民営化法など改正案 上乗せ規制の文言修正 「速やか」から「3年ごと検証」へ
- 地域金融機関、福利厚生支援に熱視線 職域基盤の構築見据え
- 信金、保証システム刷新へ 審査申し込みに紙不要
- やさしいニュース解説 証券口座の乗っ取り、隙を突く新たな不正手口
- 大手行、中途採用で営業力補強 地銀・信金から流出も
- MUFG、マイボトルの利用促進 ペットボトル1万4500本削減
- 常陽銀、手形帳などを等価買い戻し 法人決済デジタル化促進
- 高知銀、シニアへ業務委託拡大 人手不足解消に一手