【推薦図書】『華麗なる一族』(山崎豊子著)
2024.04.19 04:30
【推薦者】フリーファイナンスラボ社長・小村 充広氏
私の聖地巡礼~志摩半島の観光ホテル
3年ほど前、長年気になっていた志摩半島の観光ホテルを訪れた。映画やテレビドラマでもおなじみの本書の冒頭シーンに鮮烈な印象を持っていたからだ。
阪神銀行頭取の万俵大介の財閥一族による、正月恒例のこのホテルでの晩餐(ばんさん)シーン。豪華な料理、上質なテーブルマナーと会話、高価な服装、一族のエグゼクティブな学歴と職業。「華麗なる一族」を象徴し、この一族の波乱の物語がスタートするにふさわしい名場面だ。
「小が大を食う合併」銀行合併への野望と策略と闇、政略結婚に翻弄(ほんろう)される兄弟と企む女執事、親子間の確執、奇怪な夫婦関係。一族が織りなす野心・権力・金にまみれた魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)の物語は、華麗なるが故か、激烈だ。
それにしても山崎豊子氏が描く悪党・悪女はどの作品でも凄(すさ)まじい。本書の大介と女執事の存在感は他の登場人物を圧倒し続け、読者を驚愕(きょうがく)させる。
ある意味でザ・昭和という感じの物語は執筆後50年の時を経ても色褪(いろあ)せずに読み続けられ、映画・ドラマにもなっている。いつの時代でも人々にはちょっとした欲望や野心、悪党への憧れが潜んでいるのかもしれない。
金融業に携わる方にはお薦めしたい一冊である。
(新潮文庫、税込み1045円)
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 一部地域銀、レビキャリ活用に悩む 金融庁から強い働きかけ
- 片山さつき財務・金融担当相 積極財政で力強い経済成長
- 住宅ローン、物件高騰で長期・大口化 利上げ耐性にもろさ
- 信金、メール運用の見直し検討 犯罪対策や内部監査強化
- 城南信金と京都中央信金、生成AIの共同研究会 キックオフイベント開催
- 大手信金、内々定者交流で辞退減 「転勤なし」ニーズ合致
- みずほFG、内定辞退率10ポイント改善 役員が交流、〝距離〟縮める
- SBI新生銀、地銀向けにデジタル資産テーマのセミナー 87行217人が参加
- 経産省、人的資本経営の成果を共有 しずおかFGやCCIGが発表
- 信金、人材紹介支援広がる 「スキマバイト」活用