国交省、既存住宅の適正評価へ 地域金融との連携促す
2024.04.12 04:40国土交通省は、既存住宅が適正に評価される流通市場を整備するため、事業者と地域金融機関の連携を促す。空き家問題の解決に取り組む事業者などと地域銀行・信用金庫が協力し、新たな担保評価基準の策定のほか、融資商品・サービスの開発を目指す事業に補助金を出す。ESG(環境・社会・ガバナンス)の促進や移住者の呼び込みなど、地域の課題解決に資する建物が次世代に承継される仕組みを構築する狙いだ。
「地域特性を踏まえた住まいづくりのための住宅金融モデル事業」として、3月15日~4月12日に1次公募を実施した。(1)既存住宅等価値発見モデル(2)地域課題解決型住宅金融モデル(3)リバースモーゲージ・リスク分析――の3事業に分けて募集。同事業では、評価モデルの構築や有識者との調整にかかる経費などの項目に基づいて、1事業あたり最大2000万円を補助する。今後、応募状況を踏まえて2次公募も検討する。
同事業は2023年度に初めて実施し、1次と2次を合わせて8件を採択した。まちづくり会社と地方銀行などがタッグを組んで空き家のマッチングシステムを開発する取り組みのほか、建物の施工・管理業者と信金が協力して、築年数は古いが歴史的価値がある物件を適正に評価するモデルを構築する計画などが採択された。
空き家は18年までの20年間で約1.5倍の349万戸に増加した。国の推計によると、30年に470万戸に広がるとされている。空き家問題の解決には、物件の再活用を後押しする金融機関による評価が不可欠。国交省の担当者は「地域と金融に精通した金融機関が事業に参画することで、実現可能性は高まる」と強調する。
【国交省の関連記事】
・枚方信金、三十石船で舟運体験会 信金トップら参加
・国交省、投融資で都市を緑化 事業認定し金融支援
・信金、民都機構との連携加速へ 共同ファンドでまちづくり
・日本生命、木造拠点100カ所新築へ 農水省などと木材利用で協定