【推薦図書】『こうして社員は、やる気を失っていく』(松岡保昌著)
2024.04.05 04:30
【推薦者】全国労働金庫協会専務理事・西村 良隆氏
組織には不条理なことが数多く存在する
組織の文化は、そこに属する人たちの考えたこと、感じたことを「言葉」にすることで形づくられる、それは事実の有無に優先する。
自組織に関する認知・評価が、一リーダーの言葉により知覚・判断されることは珍しいことではありません。「新しいことに一所懸命取り組んだが報われなかった」とある部門の責任者がたった一度感じたことを言葉にしたことで、部下はそんな会社なんだなと簡単に受け入れる、「社会構成主義」の考え方のひとつです。
私たちは多かれ少なかれ不条理を感じつつそれぞれの組織のなかで働いています。多くの時間を要してようやく練り上げたプランが鶴の一声でひっくり返される、上司に何を話しても理解してもらえない……などなど。
本書は、組織において発生しがちなこと(あるある)を記載し、処方箋(せん)としての改善策を極めて平易な言葉で教えてくれます。
3人のレンガ職人。1人は「レンガを積んでいるだけ、ただきついもの」、1人は「壁を作っている、これで家族を養えるからありがたい」、そしてもう一人は「歴史に残る大聖堂を作っている、多くの人のためになる素晴らしい仕事」。行動は、組織の目的や人の価値観などでその意味を変える、ぜひご一読を。
(日本実業出版社、税込み1760円)