【推薦図書】『未来政府 プラットフォーム民主主義』(ギャビン・ニューサム、リサ・ディッキー著、稲継裕昭監訳、町田敦夫訳)
2024.03.22 04:30【推薦者】内閣官房内閣審議官・八幡 道典氏
手遅れではないわが国のDX
本書の原典が米国で刊行されたのは約10年前。3年後に翻訳版が出版され、その時に一度読んでいたのだが、未来政府という題名に引っぱられ、まだ少し先の話かなという読後感をもった記憶がある。しかし、その後、新型コロナを経て、感染動向の把握や行政手続きの非効率性が顕著となり、わが国はデジタル敗戦と批判された。
先日、ひょんなことから本書を読み直したのだが、「未来」と思い込んでいたことが思い違いであったことを痛感。一方で、既に当時巨大化していたGAFAの草創期のメンバーたちが、米国政府の取り組みが遅いことを嘆いていたことに驚いた。データの重要性への認識不足、政府の透明度の低さ、DXへの理解不足など。今、政府が批判されていることばかりで、まさに日本の現状に重なる。
わが国のDXへの取り組みが遅れをとったことは確かだが、米国も10年前は同じだったという事実はある意味で勇気づけられる。本書の示す課題は、少なくとも行政官としては認識すべきだが、官民が双方向で対応すべきことが多い。本書が語る「未来政府」の本質は「政府は私達だ」である。遅れがちな政府の取り組みを後押しするためにも、“未来政府の一員”たる民間の皆さまにもお勧めしたい。
(東洋経済新報社、税込み2640円)
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