小林経済安保相インタビュー 「金融のリスク管理強化を」
2021.10.17 04:42
小林鷹之経済安全保障担当相がニッキンなどのインタビューに応じ、経済安保の観点から金融機関がサイバーセキュリティー対策やリスク管理を強化する必要性があると強調した。中央銀行のデジタル通貨(CBDC)の発行については、国際社会で遅れをとらないために準備を整える考えを示した。兼務する科学技術政策担当相としては、新たに設立する10兆円規模の大学ファンドの意義を説いた。主な発言は次の通り。
「経済安保の確保へ自民党がまとめた提言では、金融を重要産業の一つに数えている。法個人の情報を大量に保有しているため、サイバーセキュリティー対策のほか、機器・システム利用や業務提携・委託のリスク管理を強化する必要がある。どんなことが起きても、自立性を維持できる態勢が求められる」
「歴史を振り返ると、世界の覇権が英国から米国に移る際、基軸通貨も米ドルに変わった。このため、(基軸通貨を変える可能性を秘める)CBDCの出現は国際社会のパワーバランスに大きな影響を与えかねない。日本もさまざまなシナリオを想定し、いつでもCBDCを発行できる準備だけは整えておくべきだ」
「各国がCBDC発行を検討するなか、日本は民主主義陣営の連携を主導できると考えている。米国はドルが基軸通貨である現状の維持を重視しており、欧州は各国で意思統一を図ることが難しいからだ。日本は財務省、金融庁、日本銀行が円滑に連携できる点も強みだ」
「日本では欧米に比べ寄付の文化が根付いておらず、世界のトップ大学のように資金を集められていない。自助努力は必要だが、国が資金を出さなければ世界との競争力(の差)は拡大する一方だ。(4.38%以上という)ファンドの運用利回り目標が高すぎるという指摘もあるが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とそれほど変わらない。世界のトップ大学では10%程度に設定しているケースもあり、むしろ保守的だ」